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2026年01月28日

─ 地方都市「新潟」とは勝手が違う大都会「東京」での探偵の調査 ─

2026年01月27日

渋谷の街角で雨合羽を着た探偵が雨に打たれて

 

地方都市「新潟」での調査業務は車での移動がメインです。これに対して大都会「東京」は勝手が違います。東京では電車と徒歩での移
動が中心で、探偵は生身の体をさらしながら人波に紛れなければなりません。

 

そんな“東京仕様”を改めて痛感したのが過日、群馬県を拠点に日本中を飛び回る先輩探偵のO氏から依頼された合同調査案件でした。

 

O氏によると、依頼者は50代の男性で、いわく「娘が男に騙され、非合法な薬を飲まされて命を落とした」と声を震わせていたそうです。

 

男の名前は菅原翔也(仮名)、年齢は31歳。娘さんが意識を失って倒れたにもかかわらず救急車を呼ばなかったとのことで、父親が「到底許せない」といって身辺調査を依頼してきたのだといいます。

 

私はJR高崎駅でO氏と合流し、同氏が運転する車で東京・渋谷へ向かいました。菅原は渋谷のスクランブル交差点から歩いて10分ほどしか離れていないマンションに住み、そこを起点にした行動調査になります。

 

駐車した車中からの張り込みが適切ではない立地条件のため、O氏のチームに在籍する女性調査員のG女史と私がマンションの見通しが良い場所に立って張り込み、O氏は少し離れた場所に停めた車内を基地局にして私たち二人に指示を出す役割分担になりました。

 

調査初日は夕方から小雨がぱらつき、私はG女史が用意した雨合羽を着込みます。11月の雨は都会の光を反射して綺麗に見えるのですが、体温を容赦なく奪っていきます。

 

渋谷の街では人の流れが途切れず、外国語が飛び交い、車道にはタクシーの列が常時できています。マンション付近の道路でも人の往来がなくなることはありません。

 

新潟など地方都市の場合は、車に乗っての張り込みができない場所だからといって、調査員が立って張り込みをしてしまったのでは早々に不審者扱いされてしまいます。

 

しかし、都内でも渋谷界隈では “立ちんぼ”しての張り込みが可能であり、同時に不可欠でもあるエリアといえます。その際には、いうまでもなく細心の注意が必要です。したがってマンションの出入口、交差点の死角、防犯カメラの向きまで頭に入れ、目線だけで監視を続けます。

 

O氏は何度かおにぎりと温かい缶コーヒーを持ってきてくれました。雨に打たれて冷え切った手で温かい缶を握り締めてカイロ代わりにして暖を取りますが、雨音に紛れて自分の歯がガタガタと鳴る音が聞こえる始末です。

 

東京での秋から冬の張り込みは寒さに耐えることに加えて、風景に溶け込む技術が問われます。背筋を伸ばして立てば目立ち、寒くて丸まりすぎてしまっても怪しまれるから難しいのです。

 

G女史が寒さに耐えてしっかり調査を遂行しているところ、男の私が泣きごとを言うわけにはいきません。この日、私はG女史の真摯に仕事に向き合う姿勢に感服した次第です。

 

私とG 女史は路上飲みを装ったかと思えば、時には分かれて人待ち顔でスマホを覗き込みます。O氏の車も長時間停めていると警察の職務質問やレッカー移動の対象となるため、数十分ごとに場所を変えて基地局を移動させながら、それでもマンションの灯りを見失わないように努めます。

 

これに対して私は新潟で培った車での尾行のテクニックを一度胸に仕舞い込み、 “東京仕様”にスイッチするのでした。…続きは本誌で

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