─「 平凡な毎日に刺激が欲しくて浮気した」は理由にならず ─
2024年02月27日
幸せな家族にマイホーム…それでもなぜ浮気をするのか?
約2年前のこのコーナーで、夫が妻以外の女性へと走る原因について考えたことがあります。浮気経験のある男性たちや探偵同業者の意見を整理したところ、夫が妻以外の女性と不倫関係に至る原因は主に以下の4つに大別することができました。
・妻に対して不満があった
・単に妻以外の女性と遊びたかった
・家庭や職場での重圧から解き放たれたかった
・家庭や職場は平穏だが、平凡すぎる毎日に刺激が欲しかった
日頃の調査活動を通じて、夫の浮気原因の中で最も多いと思われるのが1番目の〈妻に対して不満があった〉です。夫婦仲が悪くて普段ほとんど会話がないとか、夫が望んでいるにもかかわらず妻が夫婦生活に応じないなど、実質的に夫婦関係が破綻している状況がこれに当てはまります。
2番目の〈単に妻以外の女性と遊びたかった〉は、衝動や欲求の赴くままに浮気に走る男性のパターン。
3番目の〈家庭や職場での重圧から解き放たれたかった〉は、愛人女性と甘く切ないひとときを過ごすことによりストレスやフラストレーションを解消する、いわば現実逃避といえるでしょう。
さらに4番目の〈家庭や職場は平穏だが、平凡すぎる毎日に刺激が欲しかった〉は、4つの浮気原因の中で最も複雑な男性心理といえるのではないでしょうか?
家庭や職場に不満はないけれど、妻以外の女性になんとなく惹かれてしまう男性心理は、1996年に公開された映画「Shall weダンス?」において繊細に表現されています。
役所広司が扮する主人公のボタン会社の経理課長が社交ダンス教室の窓辺に佇む女性講師(草刈民代)の姿に心を惹かれてダンスを習い始め、やがて彼女にこう語るシーンがあります。
「28歳で結婚。30歳で子供が生まれて、40を過ぎたところで念願の家を買った。結婚、出産、マイホーム、そのために全力で働いた。正直言って、幸せな人生だと思っていた。
ところが家を買った途端に何かが変わってしまった。妻に不満があるわけではない。子供が可愛くないわけではない。でも何かが変わった。今度はローンを返すために頑張ればいいのに、気持ちはそう思っているのに何かが違う。
そんなときに、あなたに出会った。毎日見ているうちに、あなたと一度でいいからダンスを踊ってみたいと思うようになった。(以下略)」(映画「Shall we ダンス?」より)
念のためお断りしておきますと、彼は彼女と深い関係になることを望んでいたわけではなく、純粋にダンスを一緒に踊りたかっただけなのですが、彼女に対してまったく恋心を抱いていなかったかといえば、そうではないような気がします。
一方、探偵の立場から申し上げますと、浮気をする男性は妻との間に子供がいて、すでにマイホームを実現している方々が多くを占めているのが実情です。
前出の映画「Shallwe ダンス?」では、主人公の男性の「家を買った途端に何かが変わってしまった」という台詞がありますが、これには共感される方々が多いとお聞きします。それと同時に平凡な幸せを手に入れた男性の「どこか満たされない心情」を見事に表現しているといえるのではないでしょうか?
とはいえ探偵という立場上、妻のいる男性が他の女性に心を寄せることを肯定するつもりは毛頭ございません。…続きは本誌で