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2024年12月11日

─ 台湾で「伸るか反るかの一発勝負!」メイドさん勘弁して ─

2022年10月27日

台湾で豪遊する某団体関係者の素行を調査する

この連載ではこれまで数々の調査ファイルを顧みてきましたが、今回は私が探偵になりたての頃、具体的には約30年前の調査案件を振り返ることといたします。異国で若さを武器に繰り広げた調査に今思いだしても、ちょっとドキドキしてしまいます。

 

平成4年の秋のことでした。県内の某農業団体の担当者から、以下のような相談がありました。

「我々のプロジェクトに関わっているある人物の素行調査をお願いすることは可能ですか?」(担当者)

 

お付き合いがある先からのお話でございましたので、お断りするわけにもいかず「もちろんお受けいたします!」と即答しました。しかしこの担当者の次の一言を聞いて、私は一瞬息を呑みました。

 

「海外でも大丈夫ですか? 台湾で調査をしてほしいのです」(担当者)

 

それまで一度も海外に行ったことのない私にとって、あまりにもハードルの高い調査案件でした。しかし断ることもできなかった依頼主でもありました。

 

「はい、大丈夫です!」 (私)

 

気が付いたら、再びこう即答していたのでした。

 

この担当者の話によると、調査対象者は当該農業団体の関係者で田畑光彦(59)といい、あるプロジェクトの重要人物だといいます。

 

担当者が話します。

「業界関係者の間で“田畑が取引業者にカネをたかって豪遊している”という噂が絶えないのです。プロジェクトのキーマンなので当然ながら取引先の接待は付きものですが、それだけではなくもっと多額のお金を個人的な飲食や遊びに注ぎ込んでいる可能性があるのです。

 

その最たるものが海外渡航で、田畑は少なくとも月に1回は台湾に遊びに行っているらしいのです。彼の正規の所得では到底考えられないことですよ。田畑が台湾でいったい何をしているのか調べてほしいのです」 (担当者)

 

調査依頼の内容は以上のとおりですが、いったん調査を受けた私はパスポートを取得しなければならないのはもちろん、出発までの準備に大わらわとなりました。

 

国内での調査であれば場合によっては「今日は無理をしなくても次回の機会に」との、段階を踏んだ慎重なやり方での対応を検討できますが、事前に行動パターンが分からない海外での限られた日程の調査となれば、こうした段階を踏むような猶予がまったくありません。

 

ましてこの担当者はこういいます。

「田畑は現地のシティホテルに泊まって、連日のように買春をしているという噂を耳にしています。したがって田畑が本当に買春行為をしているのであれば、それを証拠に挙げてほしいのです」 (同)

 

こうなると文字どおり伸るか反るか、一発勝負の調査案件ということになります。となれば、それに見合った調査用の特殊機材に頼りたくなるのが人情です。

 

そうして私は、その当時の最新の機材を仕入れるため、東京・秋葉原の取引先の店舗に直接出向いて、総額約40万円を投じて最新機器を購入。ここをケチって調査が上手くいかずに悔いが残ってしまったのでは元も子もありません。

 

一方、単独での調査が困難だと判断した私は調査案件の性質上、渡航費などの経費がその分掛かりますが、調査員1名を帯同することにしました。そして私たちは担当者からの事前情報に基づき、しかるべき日時に田畑がリザーブしていた台湾桃園国際空港行きの同じ便に乗り込んだのでした。…続きは本誌で

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