─ 30年間で様変わりした男と女の関係と探偵業界 ─
2021年07月27日
男性の「押しの一手」は今やストーカー⁉
私が探偵になったのは今から30年近く前のことです。当時20代だった私は「カネなし、学歴なし、なにもなし」で、あるものといえば若さとやる気だけという青二才でした。
そんな私が「自分にはいったい何ができるのか?」と自問自答した末に、ひょんなことから行きついたのが探偵です。
当時、探偵・興信所業界に多大な影響力を持ち、業界を牽引されていた重鎮であるY氏という方がいらっしゃいました。我々世代の探偵にとって伝説の人物であります。
Y氏は神奈川県を拠点に、私たち一般の探偵に対して調査機材の導入に関する相談や紹介はもとより、個人情報の取り扱い方、経営ノウハウなど、あらゆるご指導・ご指南をしてくださっていました。
しかし、Y氏は15年ほど前に急逝されてしまい業界に激震が走りました。これを受けてその後はY氏の関係者の方々が、その遺志を引き継ぎ私たちを支えてくださいました。
当調査事務所が今日あるのはY氏のおかげにほかなりません。Y氏のご冥福を心よりお祈りいたします。
一方、縁あって私たちは一般社団法人日本調査業協会に加盟、正会員となりました。同協会は内閣総理大臣の認可を受け、警察庁を所管官庁とする国内で唯一、探偵・興信所が加盟する全国組織として公認された法人です。
一般社団法人日本調査業協会は1988年に業界4団体が統合、警察庁の許可を受けて「公益社団法人日本調査業協会」として発足したのが始まりで、その歴史は33 年におよびます。
今から30年近く前に探偵となった私も痛感していることですが、この30年間に世の中は大きく変わり、探偵・興信所業界もまた様変わりしました。
私たちが手掛ける一般の方々からのご依頼は、そのほとんどが浮気調査など愛情問題に関するものですが、男女の関係も大きく変わったように思います。
たとえば昔は男性が女性に対して何度フラれても諦めずにアプローチすることを「押しの一手」といって称賛したものですが、今では嫌がる女性にしつこく迫るとストーカー行為として罰せられてしまいかねません。
そもそも男女に関わらず本気で嫌がっている相手につきまとってはいけません。こうした時代の変化に伴い、現在では私たち調査業者もストーカー行為やDV(ドメスティック・バイオレンス)などの犯罪行為に悪用されかねない調査を行うことは法律で厳に禁止されていま
す。
その法律とは、2007年6月に施行された「探偵業の業務の適正化に関する法律」です。