交際相手の娘に嫉妬して名誉棄損で逮捕された女の愛憎劇
2021年04月27日
面識のない女性になりすまして交際相手を募集
名誉棄損といえば、本誌や週刊誌などが被告となって行われる民事裁判を思い浮かべる読者がほとんどでしょう。いってみれば名誉棄損裁判はマスコミの“専売特許”のような見方をされているようですが、昨今は決してそうとは言い切れなくなっています。
というのも今の時代はインターネット上のSNS(会員制交流サイト)やブログ、掲示板などの普及により、一般人も容易に不特定多数に向けて情報を発信できることから、名誉棄損で訴えられるケースが増えつつあるからです。
現実に目下、新潟地裁では一般人同士の名誉棄損による損害賠償請求事件が1件係争中だと聞きおよんでいます。
しかしながら今回紹介するのは民事事件ではなく、今から12年前に新潟市の女性が名誉棄損の疑いで逮捕・起訴された刑事事件の顛末です。
この事件ファイルは当調査事務所が直接手掛けた調査案件ではないのですが、実のところ本連載「探偵物語」を立ち上げるきっかけとなったある意味で衝撃的な事件にほかなりません。
2009年某月某日付の地元紙に以下のような見出しの記事が掲載されました。
〈ネットで名誉棄損 新潟の介護士逮捕 容疑で新潟西署〉
記事はこう伝えています。
〈新潟西署はⅩ日、名誉棄損の疑いで新潟市江南区、介護士鈴谷由里絵(仮名・24)を逮捕した。
逮捕容疑はⅩ月中旬、同市の10代女性になりすまし、携帯電話の掲示板サイトに女性の名前や自宅の電話番号などを9回にわたって書き込み、交際相手を募集した疑い。女性が同署に被害を相談していた。
鈴谷容疑者は女性とは面識がなく、同署が詳しい動機を調べている。鈴谷容疑者は同署の調べに対し、「困らせてやりたかった」などと容疑を認めている〉
逮捕された鈴谷容疑者は面識のない10代女性になりすまして、携帯電話の掲示板サイトで交際相手を募集する書き込みをしたといいます。しかも本人の名前や自宅の電話番号を書きこんだというのです。
そんなことをすれば、女性の自宅に何者かがいたずら電話をかけてくるのは容易に想像がつきます。実際のところ見知らぬ男から夜な夜な電話がかかってきたといいます。
女性は16歳でした。母親と暮らしていましたが、当然のことながら見知らぬ男から電話がかかってくる理由など分かりません。しかしその後、何者かによる掲示板サイトへの書き込みが原因だと知り、女性に代わって母親が警察に告訴状を提出します。
しかしその後も電話が鳴り続けたことから、母娘が「いつか男が現れるのではないか」と言い知れぬ不安と恐怖にさいなまれたのはいうまでもありません。…続きは本誌