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2024年10月4日

─ 消費者金融の社員が不祥事発覚で 払うハメになったバカ高い代償 ─

2020年12月26日

成績優秀の若手社員に対して抱いた社長の疑念

会社に勤務する社員の2大不祥事といえば、だいたい相場は決まっています。社内不倫と横領・着服です。社内不倫についてはこのコーナーでも幾度となく取り上げていますが、今回は後者、つまりカネ絡みの不祥事を引き起こした社員にスポットを当てます。

 

これから紐解く事件ファイルは少々過去に遡っての調査案件でありますが、その当時は消費者金融業界が高収益を叩き出して隆盛を極めていたことが思い出されます。

 

“サラ金”といっても、今の若い人たちは何のことだか皆目見当がつかないのではないでしょうか。サラ金とは今でいうところの消費者金融のことで、文字どおりサラリーマンが気軽に借りることのできる金融業者のことをそう呼んでいました。

 

今から20年ほど前、消費者金融業界では武富士、アイフル、アコムなどの大手業者が儲けに儲けまくっていました
が、その一方でわが新潟では地元発祥の中小業者も数多く営業していました。

 

そんな中、私が所長を務める当調査事務所をある男性が訪問。相談室のソファーに座るや否や、男性はこう切り出しました。

 

「実は、うちの会社に勤めている社員のことを調べてほしいのですが…」 (男性)

 

男性の名前は赤沼康介さん(仮名・50)。新潟市内で消費者金融を経営している社長さんだといいます。

 

赤沼社長が続けます。

「うちの会社は世間でいうところのサラ金です。でも断っておきますが、ヤミ金ではありませんよ。設立から15年、一貫してまっとうな商売をやらせていただいています。

 

しかしですね、私が自分の右腕のように信頼していた社員の行動が最近おかしいのです。

 

うちみたいな零細金融業者の営業マンはカネの貸し付けから回収・保全まですべて対応することになるのですが、問題の社員はフットワークが軽いのとは対照的に、ここ一年ほどは業務成績が不自然なくらいパッとしないのです…」(赤沼社長)

 

赤沼社長が疑念を抱いているのは石高将人さん(同・31)という社員で、高校を卒業して他所へ就職した後、同社に転職。社歴は7年目だといいます。

 

同社長が話します。

「この業界に飛び込んでくる若者は正直なところあまりいません。それだけに私は石高には大いに期待していました。実際のところ彼は頭の回転は速いし、仕事もバリバリこなす。文字どおり期待のホープだったのですが…」(同)

 

石高社員は入社初年度から精力的に顧客を開拓、2年目には歴代営業マンの中でもナンバーワンの成績を収めたといいます。ところが入社5年目以降、その勢いはウソのように減速していったのだとか…。

 

赤沼社長が表情を曇らせていいます。

「本人は別に仕事をサボっているわけではないようですが、肝心の成果が数字に反映されてこないんです。最近上がってくる数字は、ピーク時の3分の1程度にすぎません。

 

誰しもスランプはあることですから、当初は私も“そのうち実を結ぶことだろう”と呑気に構えていたのですが、時間が経つにつれて次第に“これはおかしいぞ”と思うようになりましてね。

 

調査については素人ではありますが、私なりに彼の身辺を調べたところ、通勤で使っている車とは別に、アメ車を所有しているみたいなのです。彼が取っている給料では、あれだけの高級車を購入して維持することなど無理ですよ」 (同)

 

これをきっかけに赤沼社長は石高社員に対してある疑惑を抱いたといいます。その疑惑とは、いわく「石高は営業活動を通じて接点を持った顧客を個人的に横取りして、モグリ金融で儲けているのではないか?」(赤沼社長)というものです。…続きは本誌

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