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2025年12月14日

要介護の危険性大の「オーラル(口腔)フレイル」とは

2025年10月27日

解説

日本歯科大学新潟病院
口腔ケア機能管理センター長

吉岡 裕雄 講師

 

超高齢社会の今、要支援・要介護状態の高齢者が増えている。その入り口の一つとされているのが口腔機能の低下、いわゆるオーラルフレイルだ。

オーラルフレイルは低栄養や孤独を招き、徐々に身体的な虚弱に陥りやすいという。ただ、オーラルフレイルの予防や脱却は可能だ。そこで今回の健康特集は、オーラルフレイルを考察する。解説は日本歯科大学新潟病院口腔ケア機能管理センター長の吉岡裕雄講師にお願いした。

 

最初は軽微なことから始まる

まず、オーラルフレイルは病名ではない。体の状態のことだ。運動器や身体機能の低下した状態をロコモティブシンドロ―ム、虚弱状態のことをフレイル、筋力の低下した状態をサルコペニアというが、その口腔機能版がオーラルフレイルといった方が分かりやすい。

 

そこでオーラルフレイルという状態の概念について吉岡講師に解説していただいた。

 

「人は歳とともに口やあごの筋肉が衰えてきます。それに伴い最近、活舌が悪くなってきたとか、食べ物が噛みにくくなってきたとか、ちょっとむせやすくなってきたなど、オーラルフレイルはとても軽微なことから始まります。始まりは軽微ですから最初はちょっとした悩みくらいのレベルなのですが、それが進行していくと食事がおいしく食べられない、食事を楽しめないなどから食事量が減っていき低栄養状態になります。また、活舌が悪くなると人と会話することが億劫になっていき、外出の機会も減るため、孤独状態が増えて行きます。ここまくると、立派なオーラルフレイルという状態にあります。

 

この状態が続いた先にあるのは、身体的な機能低下であるフレイル・サルコペニアという状態になって、その先にあるのが要介護状態ということになろうかと思います。要介護状態まで人それぞれの流れがありますが、その入り口の一つがオーラルフレイルと言っていいでしょう」

オーラルフレイルは軽微なことから始まるということで、最初に気づくことが肝心だ。日本老年医学会や日本老年歯科医学会、日本サルコペニア・フレイル学会が合同でオーラルフレイルのチェクリストを公表しているので参考にしていただきたい(※表①参照)。…続きは本誌で

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