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2020年07月14日

県立病院 慢性的赤字体質のナゾ

2017年01月27日

医師不足に喘ぐ新潟県。それがために県立病院は経営に四苦八苦している。県立病院全体では黒字決算だが、内情は火の車。へき地医療を担うなど、県立病院であるが故の要因もあるが、公務員体質が原因の1つだと民間病院関係者は指摘する。県民を守る県立病院の内情にメスを入れてみた。

 

一応は黒字を計上も…

 

一般市民に病院経営はよく分からない。医者は稼げる。それくらいの認識だ。

 

だが、医者の稼ぎを含め、病院経営の実態はパッとしないようだ。とりわけ県立病院は赤字体質が抜けきらず、民間の医療法人理事長ですら、「県立病院は末期症状」と呆れる始末。

 

結論を先に記せば、新潟県立病院全体では黒字(表①参照)。だが、平成27年度から病院会計基準が見直され、それまで計上していた特別損失26億円余りが皆減したことなどによるものでしかない。

 

p66

個別に見れば、大赤字の病院もある。全県的に医師不足は否めない。医者がいないから患者を診ることができない。入院も受け付けられない。患者が来ないから、収益が上がらない。

 

コトはそれだけでは済まない。「県立」という公務員体質も負の影響を及ぼしているという。関西学院大学経営戦略科が毎年発行している「経営戦略研究」の第8号(2014年発行)に、「自治体病院経営の現状と課題」(原彰二郎氏)と題する論文が掲載された。全国では44%の自治体経営病院が赤字と指摘。経営が悪化する原因を次のようにまとめた(本誌で要約)。

 

▼へき地・不採算地区医療、精神・結核医療、高度先進医療等、政策医療の担い手としての役割を果たすため、赤字となる部分に対して、自治体の一般会計から病院事業会計へ繰出金が計上されている。

▼人事権や予算は本庁が握っている。病院内に病院経営の権限や責任を持つ者がいないため、曖昧な形で運営されている。

▼医業収益に対する職員給与費の比率が民間病院に比して高い。自治体病院は、年功序列型賃金制度に加え、給食業務等の現業部門もほとんどが正規職員。医師以外の職員給与が、民間病院と比較して全
体的に高い。

▼自治体病院の事務職員は、数年で自治体に戻るため、病院経営のノウハウが蓄積されず、 効率的な経営ができない。他の医療機関から見れば、非常に高い価格で物品を購入するのが一例。

▼総じて医師不足。大学から派遣された医師が大学に戻るなど、自治体病院は診療科の休止等により、経営悪化に陥っている。

▼2年に1度改訂される診療報酬体系は、物価上昇や人件費高騰に対応し、点数を引き上げるのが基本。だが、近年は実質的にマイナスとなっている。

 

右に指摘された点を、中越地区のある病院長も指摘する。「掃除婦や給食の調理員などは、民間委託した方が安くあがります。だが、県立病院のそれら職員は公務員です。人件費が高くなるわけです。

 

うちでは、掃除は管財会社に委託しています。この会社とは別に、県立病院の管財業務に入り込んでいる管財会社が、うちに見積もりを出してきたことがありました。その額がべらぼうに高くて驚きました」

 

非効率の県立病院

 

表②を見ると分かるように、新潟県立病院全体の各職種の平均給与は、表中すべての全国平均を上回っている。現業職員も高給取りだ。全国平均では、「医療法人・医師」を除き、すべての職種で公立が民間を上回っていることも分かる。

 

県央地区の医療法人事務長が言う。

「一般的に医業収益に対する人件費(給与)比率が80%を超えると赤字。90%だと何をしても黒字にはなりません。県立病院が赤字で喘ぐのは、医師・看護師以外の、事務方を含む人件費が高いからです。効率化・合理化していないから赤字から抜け出せない。病床稼働率では、80%で普通、90%で優良。年間を通して70%台は赤字転落の可能性が高くなります」 「医師・看護師以外」というが、県立病院は全国平均でも高いデータを先に見た。医師らの人件費も病院経営を圧迫しているのではないのか。…続きは本誌に

 

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