横領事件に揺れた新潟市・上古町商店街振興組合の不可解な決議
2025年09月26日
新潟上古町商店街振興組合の公金を横領したとして、同組合の元女性事務員に懲役3年の有罪判決が言い渡された。刑事裁判で元女性事務員は一貫して起訴事実を否認し続けたが、その一方で組合側は元女性事務員に対して損害賠償請求訴訟を提起したにもかかわらず、早々に債権放棄を決めるなどチグハグな対応に終始したのだった。
慶応大卒(!?)の女性を組合の事務員として採用
新潟市の中心部に位置する「古町」―。その一角を占める上古町商店街はかつて人の波でごった返し、新潟市民の生活と文化の中心として栄えていた。
昭和から平成初期にかけて、休日ともなればアーケード街は買い物客で埋まり、夜には飲食店街としても賑わいを見せていた。しかし時代の流れは容赦なく、郊外型ショッピングセンターの台頭やインターネット通販の普及により、古町エリア全体の集客力は目に見えて衰退していった。
そんな上古町商店街の再生を担う組織として存在するのが、古町通3番町に事務所を構える「新潟市上古町商店街振興組合」だ。各店舗から会費を集めてイベントや広報活動を展開し、地域の活性化を目指している。
その運営の要が組合事務所で、日々の出納業務や補助金の申請、イベント経費の精算などの業務を一手に引き受けている。まさしく商店街の「金庫番」だ。
新潟市上古町商店街振興組合は平成28 年8月、長年勤めていたベテラン事務員が退職することから、後任の事務員を募集。急な人員交代に組合関係者は不安を抱えていたが、ほどなくして応募してきたのが後に横領事件の当事者となる女性だった。
この女性は横領事件を起こして逮捕され、新聞等で実名報道されており、逮捕時点で年齢は50代前半だった。本稿では仮にN氏としておく。
N氏の履歴書は輝かしい経歴に満ちていた。最終学歴は慶應義塾大学卒。卒業後は名の知れた企業に就職し、豊富な事務経験を有することが記載されていたという。面接では堂々とした受け答えを見せ、幹部の評価はすこぶる高かったそうだ。
関係筋が話す。
「組合の幹部はN氏のような優秀な人材が応募してきたものだから、大変喜んでいました。N氏は事務経験も豊富なので、安心して仕事を任せられると考えたようです」(ある組合員)
こうしてN氏は平成28年10月4日付で事務員として正式に採用された。それ以降、N氏は前任の事務員から約3カ月かけて引き継ぎを受け、翌平成29年1月から単独で事務処理を担うようになる。…続きは本誌で













