─ 探偵と編集者が過去16年超を振り返る【後編】―
2026年08月27日
節目の第200 回を突破した「探偵物語」―。探偵と編集者が過去16 年超を振り返る【後編】では、介護施設の職員同士による逃避行、家族を巻き込んだ関東での対決、そして生死に関わる調査にまで話はおよびます。AI(人口知能)全盛の時代になっても、男女の愛憎劇は一向に進歩していないかのようです。探偵の記憶を紐解きながら、その現実を浮き彫りにします。
事態発覚後に関東へ駆け落ちしたW不倫カップルを追う
編集者M 16年超の連載を振り返って、印象に残っている調査案件がたくさんあると思いますが?
所長 いろいろありますが、介護施設の職員同士のW不倫で、二人が関東まで逃げた案件は強く印象に残っています。奥様からのご依頼でご主人を
調べていたところ、職場不倫が発覚しました。ところが調査中に、ご主人が浮気相手の女性と一緒に駆け落ちしてしまったのです。
編集者M 単なる密会ではなく、逃避行に発展したわけですね?
所長 そうです。職場も騒ぎになったでしょうし、両方の家族も大変だったと思います。調査を通じて、逃避行した二人は関東にいることが判明し
ました。某アウトレットモールに立ち寄ったことも分かり、現地で待ち構えることになったのです。
編集者M 両家族が現場に向かったのですか?
所長 調査を依頼された奥様と、浮気相手の女性の家族も一緒でした。私も調査員を連れて現場に急行。相手の動きは直前で変わる可能性がありま
すから、現地では待ち伏せの場所を見極めながら動きました。
編集者M まるでテレビドラマのような展開ですね。
所長 われわれが立ち会う現場はテレビドラマよりも生々しいです。アウトレットモールの中で二人を見つけ、駐車場に向かうところを確認しました。こちらは建物の角に隠れて、歩いてくる方向を読んでいたのです。そして二人が現れたところで声を掛けました。
すると、そこで浮気相手の女性のご主人がキレてしまったんですよ。ご主人は体格のいい方で、浮気夫の首根っこを掴んで振り回すような格好にな
りました。私は「まあ、まあ…」と止めましたが、怒るのは当然です。自分の妻が浮気相手の男と駆け落ちしていたわけですから。
編集者M うっすらと記憶にありますが、浮気相手の女性の家庭事情が意外なものだったんですよね?
所長 浮気相手の女性のご主人、すなわちキレたご主人のことですが、この人はいわばお婿さんのような立場で、奥さんの親と同居していました。つまり、その女性は夫を自分の実家に置いたまま、しかも子供も置き去りにして不倫相手と逃げたのです。
編集者M それは酷い話ですね。
所長 浮気にもいろいろありますが、家族を置き去りにして逃げるというのは極めて身勝手です。依頼者側の夫婦は差し当たり家の問題が大きな焦点になりました。住宅の名義や持ち分、ローン、子供との生活があります。慰謝料よりも、まず家の処理をきちんとしてくれという話になりました。
編集者M 不倫の後始末は感情だけでなく、家やお金、子供の問題にまでおよぶわけですね。
所長 そうです。浮気をした本人たちは「好きになった」「一緒にいたい」と言うかもしれません。しかし、その背後には家族がいて、住宅ローンがあり、年老いた親もいる。恋愛ごっこの代償は、本人たちが思っているよりもはるかに高くつきます。…続きは本誌で














