物価高のいまを生きるサラリーマンの処世術
2025年11月27日
日経平均株価が5万円の大台に乗った。メディアが「史上高値を更新」と報じるたびに、企業や投資家が沸き立つ。しかし、こうした熱気はサラリーマンとはまったく無縁だ。40代の営業職男性が苦笑しながら呟く。「株価が上がっても、収入が増えるわけでもなし…」―。
日経平均株価が最高値更新でも月の小遣いは平均4万円弱
SBI新生銀行が毎年実施している「会社員のお小遣い調査」によると、2024年の男性会社員の平均月額小遣いは3万9081円となり、前年比1477円減となった。女性会社員は3万3921円で、前年に比べて80円減少した。
今から35年前、バブル期だった1990年の男性会社員の平均月額小遣いはピークの7万7725円に達していた。当時に比べると現在のサラリーマンの小遣いは半分近くにまで減少したことになる。
ある男性会社員が話す。
「給料は毎年ちょっとずつ上がっていますが、手取りは減っている。税金と保険料が高すぎます。40歳を過ぎてから昇給額はもちろん、控除額も気にするようになりました」(40代後半のサラリーマン)
SBI新生銀行は先の調査結果について、「物価上昇による昼食代の高騰」「家計の固定費増加」「共働き化による家計管理の一元化」などが会社員の自由支出の圧迫要因になっていると分析。とりわけ家庭を持つサラリーマンの苦しい実情が浮かび上がった。
前述した1990年に男性会社員の平均月額小遣いがピークの7万7725円となった前年の1989年末、日経平均株価は史上最高値の3万8916円を記録した。かつては株価と会社員の小遣いの推移がほぼ連動していたのだ。
しかし現在の経済情勢は、日経平均株価が5万円台と過去最高値を更新したにもかかわらず、会社員の給料はそれほど上がらず、ひいては小遣いにもまったく反映されていない。いったいなぜなのか?

株式市場に詳しい関係筋が解説する。
「近年の株高を支えているのは円安、外国人投資家の買い越し、企業の自社株買いの3要素です。いずれも実体経済よりも金融要因によるところが大きく、家計に波及する効果が限定的となっています」(証券アナリスト)
別のサラリーマンがため息交じりにいう。
「日経平均が5万円を突破しても、オレの小遣い3万円台のままですよ」(30代後半のサラリーマン)
かつての「株価=景気=給与」という三段論法は完全に崩れ去った。…続きは本誌で













