─「 浮気・不倫」に対して実は寛容な社会の潜在意識 ─
2024年03月27日
“モテるオヤジの作り方”は誰にモテるためなのか?
前々号、前号の2 回にわたって「人はなぜ浮気をするのか?」について記しました。いつの時代にも浮気、つまり不貞行為におよぶ人たちは一定数存在しますが、その背景にはなんだかんだ言っても浮気に対して寛容な空気が存在しているような気がしてなりません。
とくに男性の浮気に対しては、その傾向が強く見て取れます。たとえば読者の皆さんは男性向けファッション誌「L E O N(レオン)」をご存じでしょうか? 30代から50代をターゲットとする同誌は「ちょい不良(ワル)オヤジ」という新語を生み出したことでも有名です。
ちょい不良オヤジといっても半グレのオヤジのことではなく、多くの男性が憧れる不良性を備えつつ、社会に順応するサジ加減を知っている大人のことを指すのだといいます。
同誌は「ちょい不良オヤジ」をモテるオヤジの代名詞として位置付けており、このことは「モテるオヤジの作り方」や「やんちゃオヤジのモテる5カ条」などと銘打った特集記事を連発しているあたりからも十分に窺えます。
問題はこの「ちょい不良オヤジ」がいったい誰にモテるのか、あるいは誰にモテたいのかだと思うのですが、これだけ多様性が尊重される時代ですからハナから女性だと決め付けるべきではないのかもしれません。
とはいえ同誌が2001年に創刊した当初からイタリア出身タレントのパンツェッタ・ジローラモが「ちょい不良オヤジ」の象徴としてモデルを務めていますが、その傍らにいるN IKITA(ニキータ)という名の設定の女性モデルは年齢がおそらく30代前半から30代半ばくらい、ルックスは金髪の妖艶な美女で、彼の奥様には到底見えません。端的にいえば、愛人にしか見えないのです。
このLEONに掲載されている洋服や小物、アクセサリーなどのアイテムは、そのほとんどが欧米ラグジュアリ―ブランドの高額商品であり、明らかにお金持ちの中年男性を購買ターゲットとしています。
そして実際のところ同誌に掲載された商品は飛ぶように売れるのだとか。女性にモテたいと思っている多くの中年男性の購買意欲を掻き立てているのは間違いなさそうですが、彼らにとってそのモテたいお相手は奥様以外の女性と考えるのが妥当でしょう。
一方、男性向けの精力剤の広告の中にも奥様以外の女性との関係性を連想させるものが多くあります。詳しく説明する前に、読者の皆さんは男性向け精力剤の広告で最も多く使われているフレーズは何だと思いますか?
答えは「男の自信を取り戻す」です。これには理由があって、医薬品ではない男性向け精力剤は法律上、広告で効果や効能があるかのようにうたうことが禁じられていることから、法律に違反しないギリギリの線が「男の自信を取り戻す」なのだといいます。
この種の広告には鍛え上げられたバキバキの男性の体がイメージ写真に使用されることが多く、“男性としての強さ”をアピールするものが多く見受けられます。また女性モデルを起用する広告も数多く、その中には色っぽい表情で「すごい…」などと吹き出しを入れた意味深長なものが少なくありません。
ご参考までに掲載したのは小林製薬が発売している男性向け精力剤の新聞広告です。世の男性諸氏は、この女性の色っぽい表情が旦那様に向けられたものなのか否か、どのように受け止めますでしょうか?…続きは本誌で