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2024年10月4日

続報 新潟市水道局職員パワハラ自殺に渦巻く隠蔽疑惑

2019年07月26日

本誌6月号が報じた、新潟市水道局が自殺した職員に対するパワハラの事実を隠蔽したとする指摘が大きな波紋を広げている。市議会6月定例会の一般質問では市議2人がこの問題を追及したが、当該市議が一般質問する前に“新潟市職員”を名乗る匿名の人物が「財界にいがたの記事は事実」との趣旨の告発文書を郵送、そこには市役所職員でなければ知り得ない部局・課の具体名や個人名が記されていたのだった。

 

一般公開前に関係議員のもとに告発文書を郵送

 

本誌6月号に掲載した記事のタイトルは〈組織内での事実隠蔽が疑われる新潟市水道局職員のパワハラ自殺〉。タイトルのとおり、新潟市水道局が自殺した職員が上司からパワハラを受けていたにもかかわらず、その事実を組織的に隠蔽したとする内容だ。

 

詳細については6月号を参照していただきたいが、大まかな内容を記しておこう。

 

上司からパワハラを受けていたとするメモを携帯電話に残して2007年に自殺した新潟市水道局の男性職員は当時38歳だった。

 

遺書とみられるメモを見つけた妻は当然ながら、夫が上司からのパワハラを苦に自殺したものと確信。同年10月に地方公務員災害補償基金新潟支部に公務災害認定の申請をした。

しかし09年1月、同支部は「公務外災害」と認定。

 

妻はこれを不服として同年2月、同支部審査会に審査請求したが、その際、さまざまなつてをたどってパワハラがあったと証言する水道局職員の陳述書を併せて提出した。

 

結果的に職員による実名での陳述書が大きな意味をなし、審査会は11年11月、男性職員の自殺が「公務災害」だとする裁定を下した。

 

ところが、ここから先の水道局の対応が大問題だった。「公務災害」と認定された翌日、同局担当職員4人が妻のもとへ訪れ、「パワハラ再発防止策を講じるため」だとして、「審査会の裁決書をいただきたい」と要請。妻はこの言葉を信じて応じてしまう。

 

ところが後日、妻は裁決書の提出をきっかけに水道局内で「陳述書を書いたのは誰か」と犯人探しがなされたと伝え聞く。

 

またその後、市当局に損害賠償の協議申し入れをしていた妻は、市側の代理人弁護士から文書で「円満に話し合いで解決したいので、審査会へ提出した陳述書を含む資料を提出してもらい、内部調査に使用することを了承してほしい」との要請を受ける。

 

これに対して妻は先の裁決書提出で裏切られたこともあり、応じてよいものかどうか非常に迷ったが、弁護士と相談した上で「市が話し合いに応じ、謝罪の意思があるのなら」という気持ちで求められた資料のほとんどを市に提供したという。

 

しかしこれはワナだったのだ。妻は手記に以下のように記している。

〈ところが、市側は渡した資料を基に、管理職数人で関係職員をひとり一人呼び出し「書かれていることは本当か?」「本当にこんな事を言ったのか?」などと詰問し、さらに面談内容を録音し文章にして押印までさせる“内部調査”を行いました。〉 (妻の手記より)

 

実名の陳述書で「パワハラがあった」と証言した職員が、目上の管理職から詰問されたことにより委縮し、内容を撤回したのはいうまでもない。

 

こうしたクロをシロに塗り替える“内部調査”が行われた結果、市当局は「パワハラの事実はなかった」と結論付けたのだった。

以上が本誌6月号記事の大まかな内容だ。

 

自称“新潟市職員”による告発文書

 

本誌の指摘と同様に、市議会にも市水道局がパワハラの事実を組織内で隠蔽したとみる議員が存在する。青木学議員と中山均議員だ。2議員は6月20日に行われた市議会6月定例会の一般質問でこの問題を取り上げている。

 

ところで議員が一般質問でどのような質問をするかについては、市議会のホームページで誰もがその要旨を事前に閲覧することができる。6月定例会の一般質問通告要旨(確定版)は6月19日にホームページにアップされている。

ところが議会事務局が一般質問通告要旨をホームページにアップする以前、つまりどの議員がどのような質問をするのか一般市民にはまったく分からない段階で、“新潟市職員”を名乗る匿名の人物が青木議員と中山議員にパワハラ問題に関する告発文書を郵送していた事実があるという。

 

中山議員は自身のフェイスブックに以下のように記している。…続きは本誌に

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