新潟県の大学合格力 最難関国立大・旧帝大の合格力
2025年07月27日
なぜ、あえて最難関の大学を目指すのか。より良い学習環境を求めて。視野を広げるために。優秀な仲間と切磋琢磨するために。自らを試し、未来を切り拓く力を身につけるため、などの理由もあるだろう。その先に待つのは、年収や就職の優位性、社会的な信用、そして日本社会を支えるリーダーとしての道かもしれない。では、そんな可能性を秘めた若者たちを、新潟県はどれほど育み、どれほど送り出しているのか。
旧帝大の合格力は低い本県
日本の最難関大学と聞かれて「東京大」との答えは、まさか不正解ではあるまい。関西以西の人は「京都大」と答えるかもしれないが、そこは〝お国柄の違い〟で済ませていいだろう。両大学に加え北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大を括った総称である「旧帝大」(旧帝国大学)と答える向きもあろう。
どれだけ難関なのか? 今年3月の卒業生は全国で約94万5千人。これに対し、旧帝大の総合格者数は約1万9400人で2%。2%を偏差値に
置き換えると、ナント70。卒業生の2%しか旧帝大に進学できない計算だが、何の2%か? それは学力しかあるまい。生まれ持った才能や、いわゆる〝親ガチャ〟など運による要素もあるだろうが、基本的には涙ぐましい努力で勝ち取るものと言っていいだろう。
高校生にとっては「地元の国立大学に進学したい」という志向が一般的である。旧帝大がある都道府県の生徒たちは、いわば〝地の利〟を生かして最難関への挑戦がしやすい。実際、こうした地域では旧帝大への進学率が高い傾向にある。
「単に〝学力が高い〟というより、『地元の旧帝大に進学する流れ』が太く根付いている」
と大学受験に詳しい中央の教育関係者は言う。この背景には、旧帝大の所在地が持つ構造的な優位があるのだとか。極めて詳細な大学入試情報を持つ予備校、塾が多くある。しかも、高校生向けだけでなく小学生やその保護者に向けたものまである。高校と大学の間には長年の信頼関係、いわば〝暗黙のパイプ〟が築かれている。難関大合格を目指す生徒にとって、受験に必要な情報や環境、ノウハウが日常的に手に入るというアドバンテージがあるらしい。
一方で、旧帝大のない地域の高校生が、距離や情報の壁を乗り越えて合格を勝ち取ることは、並々ならぬ努力と意思の賜物である。
旧帝大への合格者数や進学者数は、単なる進学実績にとどまらない。地域全体の「教育力」と、若者たちの「挑戦力」の象徴とも言える指標と言っていいだろう。その意味で、地方都市・新潟から難関大へと挑む流れは、地域の進学環境や教育政策の成熟度を測るひとつのバロメーターでもある。各高校の進路支援体制、模試・情報環境、進学への意識醸成など、あらゆる要素が合格・進学の背後にある。
左の表とこれに対応するグラフをご覧いただきたい。「サンデー毎日増刊 大学入試全記録2025年度版」から、都道府県別に旧帝大の総合格者数(既卒含む)をまとめたものだ。言い換えると、本誌5月号で報じた本県の東大合格者数15人、京大7人…を、全都道府県で積み重ねたものである。
「占有率」とは、7大学の総合格者数に対する自県合格者の割合、「自県18歳人口1万人当たり合格者数」(以下、18歳合格者数)は、自県の今年3月卒業生を1万人にならした時の7大学合格者数だ。なお、計算式に必要な「卒業生数」は、令和6年度学校基本調査・第3学年の数値(=
18歳人口)を使用した。
本県は、卒業生数1万6437人に対し、旧帝大総合格者数は159人(昨年より減)。占有率は0・8%(昨年より減)。18 歳合格者数は96・7人(昨年より減)だった。本県の人口は日本の人口の1・7%を占めることから、もう1%くらい占有率が高まっても良さそうなものだ。
グラフは、18歳合格者数の多い順に都道府県を左から並べ、棒グラフが18歳合格者数、折れ線グラフが占有率を示す。
18歳合格者数トップは奈良県。431・9人は、2位の愛知県333人を約100人も離してダントツ。4位の兵庫県まで300人を超えた。愛知県、福岡県、北海道、京都府、大阪府、宮城県、東京都と、旧帝大のある都道府県はいずれも上位だった。
その間に石川県、富山県、岐阜県といった地方の県がランクインしていることが分かる。
本県は、右から数えて4番目、全体の44番目に位置する。旧帝大に合格する高校生の数は、全国の中で最下位クラスに甘んじた。学力上位者が全員、旧帝大を目指すわけではないものの、本県の旧帝大合格力は低いと言わざるを得ない。…続きは本誌で













