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2025年07月16日

NST巨額所得隠しの背後に経営トップの「利益至上主義」

2025年06月27日

フジテレビ系列のNST新潟総合テレビ(新潟市中央区)が約11億円もの所得隠しにおよんでいたことが関東信越国税局の税務調査によって発覚した。会社側は「NSTから制作会社に支払った費用のほとんどが弊社元社員の親族名義の会社に流れていた」とし、自社への還流を強く否定しているが、一方では経営トップによる「利益至上主義」の強権統治が元社員を不正に駆り立てた可能性も取り沙汰されている。

 

11億円所得隠しするも自社への還流は否定

 

NSTによる巨額所得隠しを最初に報じたのは6月3日付の読売新聞だった。記事によれば、NSTが関東信越国税局から2024年3月期までの6年間で、計約11億円の所得隠しを指摘されたという。

 

また同国税局が調査したところ、実際にはスポンサーが存在せず放送予定もないCMの制作費を装ったり、スポンサーがいるCMでも外注費を水増ししたりしていたことが判明。

 

さらに記事は、NSTが架空の外注費や水増しした分を制作会社からバックさせた上で、広告会社側への接待費などに充てる裏金として使っていたとしている。

 

こうした読売新聞の報道を受けて、NSTは同日、〈弊社修正申告について〉と題するコメントを発表。その中で〈関東信越国税局から制作会社や代理店に支払った2018年から6年間の費用の一部について、修正申告の指導を受けました〉とした上で、〈修正申告を行い総額7億9000万円を納税いたしました〉と説明した。

 

ただし読売新聞が「NSTが架空の外注費や水増しした分を制作会社からバックさせた上で、広告会社側への接待費などに充てる裏金として使っていた」と報じた点については、以下のように否定した。

 

〈NSTから制作会社に支払った費用のほとんどが弊社元社員の親族名義の会社に流れていたことが税務調査によりわかりました。

 

元社員とは係争中で、制作会社から元社員の親族名義の会社に流れた金額やその後の流れについての全容はわかっていませんが、一部報道にあるような制作会社に支払った費用が当社に還流しているとの実態はありません。〉(NSTが6月3日に発表した〈弊社修正申告について〉と題するコメントより)

 

そして翌4日のNSTの記者会見では、同国税局から約11億円の所得隠しを指摘されたことについて酒井昌彦社長が謝罪したが、自社への資金の還流はないと改めて強調した。…続きは本誌で

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