原発県民投票条例案「否決」で広がる政局への波紋
2025年05月27日
4月18日、県議会臨時会は柏崎刈羽原発の再稼働の賛否を問う県民投票条例案を否決した。結果は賛成16、反対36。予想されていた結末ではあったが、条例案が否決されたことにより、今後の政局に大きな火種を残したのは間違いない。
傍聴席から野次が飛ぶ異様な雰囲気の中で
県民投票条例案を審議する県議会臨時会の模様をインターネット中継で見ていた60代男性が感想を口にする。「議会は民意を代弁する場のはず。しかし3日間の審議は主役のはずの県民が置き去りにされた感じがして悲しかったです」 (60代男性)
条例案の採決に先立ち開かれた午前の特別委員会は、異様な空気に包まれていた。傍聴席から拍手が起きると委員長がそちらに視線を送り、野次が飛ぶたびに審議は止まった。
委員会採決の直後、何度も野次を飛ばしていた男性に対して委員長が退席を命じたが、この男性が退席に応じなかったことから、審議が1時間近く中断する場面もあった。
関係筋が話す。
「県民投票条例案に反対する議員が“二者択一の県民投票を行えば、住民を分断することになる”と話したときに傍聴席から不満を表明する野次が多く飛んでいましたね。ある傍聴者は“住民を分断させないのが政治家の仕事だろ!”と口にしていました。
また傍聴席から野次が飛ぶたびに自民党議員が “法治国家なんだぞ!”と抗議の野次を飛ばしていましたが、普段から人の発言を遮るような野次を飛ばしている自民党議員が急に“優等生”になったものだから、なんだか滑稽でした」 (議会関係者)
本会議の採決で県民投票条例案に反対した自民党議員は31人。その中にはかねてより「現時点で再稼働は認められない」と明言してきた複数の議員たちも含まれている。
いうまでもなく県民投票は原発再稼働の賛否を問うものであり、県民投票条例案に反対したからといってイコール、その議員が原発再稼働に前向きな考えを持っていると決め付けることはできない。
とはいえ現実問題として、県民投票条例の制定に向けて署名をした14万人超の人たちの多くは、そうは受け止めていないようだ。
前出の男性がいう。
「県民投票条例の制定を望む人たちは、基本的に原発再稼働に反対しているか、あるいは再稼働に対して慎重な考えを持っているものと思われます。条例案は県議会最大勢力の自民党が一枚岩となって反対したことにより否決されましたが、これが2年後の県議選にどう影響するのか非常に興味深いところです」(60代男性)…続きは本誌で