新潟県給与名鑑 民間編
2025年02月27日
新潟県「平均年収430万円」の実態
初任給30万円だ、33万円だ、いや41万円だと景気の良い話が飛び交っている。春闘では2年連続で月給5%アップを目指すと威勢がいい。一方で、2月5日に厚労省から発表された2024年1年間の実質賃金は0・2%減。2・9%増の賃金より消費者物価が3%以上の増と上回ったためだ。給与は増えても家計が苦しい状態が全国的に続いている。では、本県の民間給与の実態はどうなのか、探ってみた。
本県大卒初任給21・6万円
「ついこの間まで150円くらいで買えていたキャベツが300円、400円と高くなっていて、思わずのけぞってしまいました。東京では1玉1千円もする時期があったとかで、なんかもうキャベツを買っていい値段が分からなくなりそうです」
新潟市内在住の兼業主婦が話すように、今冬は野菜の高騰が著しい。キャベツだけでなく白菜、大根、レタスなども一時は3倍近く高かったはず。30㌔㌘で1万円弱だった玄米は2倍近い値段で売られている。冷凍食品の中身は少なくなった印象で、弁当おかずが時折寂しい。
「来月には1千品目が値上げ予定です」など「値上げ予告」は毎月見ても、「値下げ予告」は聞かず、見切り品以外では見かけなくなった。
低賃金組と昇給なし組にとって昨今の物価高は厳しい。厚労省によると、資本金10億円以上かつ従業員1千人以上の大企業では2024年に平均5・3%の賃上げを達成したという。一方で冒頭に記したように、24年の賃金は全国平均で2・9%増。中小企業を中心に大半が小幅な賃上げに留まったことを意味している。
「初任給30万円や賃上げ5%という芸当は、地方の中小企業はまず真似できません。月給はせいぜい1%増で、2%アップなら超優良じゃないですかね。
それでも数千円増です。大手の5%増は月額にすると平均2万円だそうです。月給40万円の5%が2万円。新潟県の平均月給は40万円ではないはず。初任給、月給、賃上げの各水準で都会が地方を凌駕し、今後は突き放していく。ますます若者が都会に出たがりますよ」 (大学関係者)
都会のほうが稼げると、就職時に首都圏に出て行く若者、特に女性が後を絶たない。若者が逃げ出し、出たら戻らないほど本県の給与水準は低いのか?
こうした検証も含め、本県民間給与の実態に迫りたい。
初任給(表1)から見ていく。①は本県の学歴別の初任給を産業別、性別に分けてまとめたものだ。
ユニクロを展開するファーストリテイリングは、大卒初任給を33万円にすると1月に公表して話題をさらった。年収ベースにして500万円強になるという。同様に初任給を30万円台に載せる動きが特に金融業界で目立ち、大企業では〝初任給30万円時代〟が現実味を帯びてきた。
本県の大卒初任給は21万5800円(男女計)。大学院修士卒で24万2200円(同)。いずれも20 2 3 年実績とはいえ、「30万円」と比べるといささか寂しい水準だ。…続きは本誌で