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2024年05月4日

県内上場企業37社 業績ランキング

2024年01月28日

昨春、新型コロナウイルスの5類移行を受け、あらゆる活動が元に戻った。企業は業績を回復させ、大幅な利益増を実現させた会社もあった。2024年度は利益をさらに積み上げる見通しを発表する企業も相次いでいる。一方で本県上場企業のこの1年はどうだったか。各社の直近の有価証券報告書から、業績などを分析しつつ、各種指標についてランキング化してみた。

 

いまは好景気なのか?

 

年明け早々、日経平均株価がバブル後の最高値を更新した。経済誌などは「日経平均4万円も」など強気な記事が目立つ。日本の経済、企業が元気を取り戻したらしい。

 

株価上昇には「好景気」のイメージが強い。しかし、そうした実感は、恐らく多くの人が「ない」のではないだろうか。

 

「給料上昇のニュースを見ても、自分の給料が大して上がっているわけでもなく、しかも物価は上がったまま下がらないので、とても景気がいいとは思えない」 (団体職員)

 

「バブルの時は、給料に反映されるというより、経費をジャブジャブ使っていたと先輩から聞いた。いまの株価は当時と同じだけど、給料に反映されないだけでなく、経費だって締め付けられている。ジャブジャブ使うどころか、ショボショボとしか使えない。とても景気がいいとは思えない」 (金融機関職員)

 

現状では好景気の実感はなくても、春にはひょっとすると左団扇で暮らしているかもしれない。企業が軒並み賃上げを実現させそうだからだ。

 

昨年も賃上げのニュースは相次いだ。毎月勤労統計調査など、政府の統計でも賃金上昇が続いていたことを確認できる。ただ、物価の上昇率が賃金上昇率をいまなお上回っているため、家計が楽になっているとは言い難い。

 

春闘では、物価上昇を上回る賃上げの実現が期待されている。岸田首相も昨年、企業に賃上げ要請をした。既に10%以上の賃上げ方針を打ち出す企業もあり、期待感は高まっている。物価は今後、2%前後の上昇が続くと見込まれていることから、10%アップが実現すれば消費も促され、逼塞感は解消される、といった期待がいまからされている。

 

賃上げをするには企業も原資が必要。売り上げと利益を増やすこと、増やせる人材を育成することが経営者の腕の見せ所。だが、簡単に増やせないのもまた事実。たとえば、運送業界はいま、人手不足に喘いでいる。ドライバーを確保できず、仕事はあるのに仕事ができない、だから売り上げを増やせないという悪循環に陥る企業もある。建設業界では、高温多雪の異常気象が相次いでいることから、これを嫌った若い人材が就職せず、目の前にある仕事ができない事態が起きているとも聞く。現に全国的には中小企業を中心に、人手不足が原因の倒産が増加している。

 

「人手不足を解消するには賃上げが最善策」(大学教授)であることは分かっていても、「仕事ができなければ売り上げも利益も増やせない。給料も上げられない。もどかしい」(建設業社長)。まさに「鶏が先か卵が先か」である。

 

県内の経営者からは、「景気のいい話は中央の大企業、巨大企業だけの話」という羨望とも取れる声がチラホラ聞こえる。果たして、県内企業を代表する上場企業の業績はどうだったか。…続きは本誌で

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