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2024年10月4日

参院選・自民党 野党統一候補に負けたのに“勝者”とは?

2019年08月27日

先の参院選で敗れた塚田一郎氏。その戦犯とも言える石﨑徹代議士の“事件”の方が大きく扱われたせいか、戦後はすっかり影が薄くなってしまった。確かに塚田氏は落選した。だが数字は物語る。本県でも決して自民党は負けちゃいない。むしろ負けたのは野党全般だという。

 

投票率低下でも強かった野党統一候補

 

全国的に見れば自民党と公明党の与党側が勝った参院選だった。先に様々な数字を見ていく。

 

非改選分を含め、定数245のうち自公で131議席は過半数突破。維新や国民民主党など改憲に前向きな政党を含めると、3分の2以上にもなる。これ以前の国政選挙、直近5回を見ても、自公が安定して勝っている(図①)。

 

全国の数字では「自公勝利」なのだが、本県は野党統一候補の「打越さく良勝利」だった。市区町村別、候補者別に得票率を見ると、誰がどこで勝ったのか、負けたのかが分かる(図②)。これを見ると、新潟市秋葉区、見附市、加茂市、田上町など、衆院では4区の地域で塚田氏はボロ負けした。4区は県内で唯一、与党系代議士の空白区だ。

 

逆に前回2017年衆院選の3区で勝った野党系は、今回はことごとく取りこぼしていることが分かる。有権者の心の移ろいが表れている。

投票率が著しく下がった参院選でもあった。前回2016年の参院選は54・70%。今回は48・80%と50%を割り込んだ。県内の投票率も低下し55・31%に(前回は59・77%)。それでも全国では4番目に高い投票率だった。高いのか低いのかよく分からない投票率が、政党幹部の票読みを苦しめた。

 

比例代表選における政党別の得票率(本県分)はどうだったか(図③)。

 

自民党の43・7%は、直近の国政選では過去最高だった(小数第2位まで記すと、前回参院選は43・66%、今回参院選は43・73%)。公明党や維新、共産党、社民党は横ばい。初陣だった国民民主党は6%と振るわなかった。“一人負け”に見えるのが立憲民主党。さらには、このグラフを見る限り野党はもう、統一候補でないと選挙を戦えないかもしれない。

誰が勝って誰が負けたのかよく分からない参院選だったわけだ。

 

先の参院選、田口一博・新潟県立大准教授はどう分析したのか。講義を始める。

 

一般的に「投票率が高いと野党が有利」と言われています。全国の投票率は48・8%で、前回の54・7%から大きく下げました。なるほど、投票率は高くなかった。だから全国的に見ると野党は勝てなかった、と説明できそうです。

 

統一候補を含め野党系候補が勝った1人区の選挙区と投票率(いずれも%)は、岩手(56・6)、宮城(51・2)、秋田(56・3)、山形(60・7)、新潟(55・3)、長野(54・3)、滋賀(51・2)、愛媛(52・4)、沖縄(49・0)。よって右の県は「投票率が高い県だった」と言えそうです。とすれば、与党が勝てなかったのは「投票率が高かったから」と説明できそうです。

7月21日の投開票日当日、私は県内某テレビ局で解説をしていました。投票率はどうやら低そうだという情報が入ってきました。このとき、打越陣営の表情は暗く、自民党陣営はシメシメという表情をしていました。ある自民党幹部は戦前、「55 %を割ればうちが勝つ」とも話していました。

終わってみれば、投票率は前回比4ポイント減の55%、野党系の勝ち。本県は投票率が高かったことは事実。実際、全国上位の投票率でした。でも、前回よりは下げている。投票率が下がったのに、「投票率が高いと野党が有利」になったのが新潟県。ややこしい結果に、政党幹部の票読みも狂うわけです。

新潟の課題は忖度や落下傘なのか?

 

私も全国を飛び回り、仕事の合間にも“選挙取材”をしました。どこへ行っても質問されたのが「(塚田氏の)忖度発言は影響するか」でした。結果を見れば「影響した」です。あれだけの騒ぎになったのですから、影響しないはずがありません。

 

塚田氏が福岡県でした忖度発言は4月1日でした。翌2日、塚田氏は新潟に戻り統一選の応援をしていました。まだ騒ぎにはなっていないし、本人も周りもあの発言を気にしていなかったから応援できたのでしょう。

 

火が付いたのは翌3日です。中1日開いているのです。火をつけたのは東京です。メディア報道がきっかけでした。報道を見たネット民がSNSでざわつきはじめました。忖度発言とメディア報道がコピペされて拡散されました。結果的に炎上。野党も騒ぎ出したことで自民党は倫理的に困っちゃった。

 

文春や新潮などが着火する場合はちょっと異なるのですが、新聞やテレビの報道が火元の場合、火の広がり方はだいたいネットを介在するようになりました。ネット民は拡散する際、だいたいコメントを添えます。ネガティブなネタのときのコメントは、総じて批判的です。だんだんとエスカレートして、盛り上がっているように見えてきます。乗り遅れるなとばかり、無関心な人も気になり出して参戦し、過剰反応すると、いわゆる炎上状態になる。けしからん、辞めろなどと手を付けられなくなるとアウト。…続きは本誌に

 

 

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