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2026年02月26日

タイに潜伏する日本人特殊詐欺グループの全貌(前編)

2025年12月26日

オレオレ詐欺、ニセ警察詐欺、還付金詐欺…。特殊詐欺による被害が激増の一途をたどっている。狙われるのは主に高齢者だ。特殊詐欺グループは警察当局の捜査から逃れるために活動拠点を東南アジアなどの海外に置くケースが多いとされ、実際にタイでは複数の摘発事例がある。タイ警察関係者は「われわれが手掛けた摘発事例は氷山の一角。国内ではまだいくつもの日本人特殊詐欺グループが活動している」と言い切る。本誌記者がタイ・バンコクに飛んで、その実態をリポートする。

 

国内特殊詐欺の被害額は前年比124%増の1096億円

 

警察庁が公表した令和7年10月末時点の暫定値によると、日本国内で認知された特殊詐欺の件数は2万2657件となり、前年同期比で6210件増えた。実に37・8%増という急増ぶりだ。

 

被害額は約1096億7千万円で、前年の年間被害額に比べて124・4%増となり、倍増をはるかに超える被害が発生しているというのだ。これらの数字は10月末までの暫定値であり、最終的な確定値は令和8年に改めて公表される予定だが、それを待たずして令和7年の被害額はついに1000億円を突破した。

 

手口をみると、被害件数、被害額ともに増加を牽引しているのが「ニセ警察詐欺」だ。警察官や検察官、金融庁職員などを名乗り、「あなたの口座が犯罪に使われている」「このままでは財産が危ない」などと不安をあおり、キャッシュカードの差し替えや現金の振り込みを迫る手口が現在の主流となっている。

 

中には「捜査に協力してほしい」などと、被害者に現金を出させて“おとり役”までさせる悪質かつ巧妙なケースもある。電話口で言葉巧みに正義を装いながら、高齢者の心細さや不安につけ込む断じて許せない犯罪だ。

 

こうした特殊詐欺の約99%は最初の接触が電話によるもので、最近は携帯電話だけでなく国際電話番号を悪用するケースが顕著に増えているという。国際電話番号からの着信による特殊詐欺は、前年同期比127・4%増という大きな伸びを示している。

 

関係筋が話す。

「われわれ警察は“国際電話番号からの着信電話には出ないようにしましょう”とPRしていますが、実際には国際電話番号が表示されていたとしても海外から電話を掛けているとは限りません。IP電話などでは発信者番号を自由に設定できるからです」 (新潟県警関係者)

 

とはいえ本当に海外から電話を掛けている特殊詐欺グループも少なくないという。

「最近の特殊詐欺グループは主に東南アジアに拠点を置いて、“かけ子”と呼ばれるメンバーが日本の主に高齢者に詐欺の電話を掛けています。彼らが活動拠点を置いている国のひとつがタイです」 (同)

 

日本国内だけで完結しているかのように思われがちな特殊詐欺の背後には、実のところ海外拠点の存在が透けて見える。中でもタイは日本人特殊詐欺グループが最も好んで活動拠点を置く国のひとつだという。

 

日本に比べればまだまだ物価が安く、日本からの航空便も豊富で長期滞在もしやすい。こうした条件が犯罪グループにとって好都合となっているようだ。…続きは本誌で

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