本県高校 大学進学実績20年の軌跡
2025年08月27日
本県の大学進学率は、足元で着実に上昇している。もはや「高校卒業生の約半数が大学へ進む」時代である。一方で、18歳人口はこの20年で約4割減。しかし、大学進学者数は減るどころか、むしろ約1割増えた。量の縮小と進学意欲の高止まりという相反する潮流の交差点で、県内の高校・中等教育学校の実績地図も塗り替えられてきた。ここでは過去20年の大学進学実績を俯瞰し、学校別の伸長と停滞、学部選好の変化までを追う(数値はいずれも全日制)。
広き門になった大学
この20年で大学の数は約200も増えた。国立大学は横ばいだが、公立大学と私立大学が増えたのだ。少子化が進む中でのこうした動きは、需給の常識とは逆行している。
大学進学に関する県統計の最新年度は2024年度(同年3月卒生)。同年度と2014年度、2004年度の本県大学進学実績を眺めると、微妙と劇的、両面の変化が見て取れる。
まず卒業生数の推移を見ていく(表1)。04年度の高校卒業者数は2万5693人だったが、14年度は1万9539人、24年度は1万5667人。20年間で実に1万人も減った。さらに2024年の出生数は9941人であり、単純計算すれば18年後には高校卒業生が1万人を下回る見込みだ。

公立高校(県立・新潟市立)卒業生数は、04年度2万1289人に対し24年度1万1791人と約9500人減。この間に公立中等教育学校ができ、24年度は463人が卒業した。私立高校は04年度4044人が卒業、24年度は3876人で約500人減った。
公立高校の募集学級は、私立高校に配慮する形で調整する。この20年間でほぼ全ての公立高校が募集学級を減らした。募集停止された学校もあれば、統合された学校もある。逆に私立高校では、生徒数を増やした学校もあれば、新規に開校した学校もある。公立校では伝統的な進学校に生徒が集まりやすくなり、私立校では進学実績を高めた学校が生徒を増やす傾向が見られた。
この卒業生数をもとに、表2以降の大学進学者数・進学率に関するデータを眺めていきたい。
表2―①は「国立大学進学者数・進学率」の推移だ。
県全体で04年度に1582人だった進学者数は、14年度には1801人に増え、24年度はさらに1835人に増えた。進学率は、順に6・5%、9・2%、11・7%。20年前から5・2㌽増え、いまや卒業生の1割超が国立大に進学する計算だ。中でも中等の進学率が極めて高く、24年度は30・9%を記録した。
学校別に「進学率」を見ていくと劇的な変化を感じることだろう。
たとえば、新潟江南高校。04年度の国立大進学率はわずか9%。それが24年度は3倍超の30・3%に上昇した。同じく20年前との比較で6・9%から23・8%になった長岡大手高校、4・5%から16・8%になった長岡向陵高校、0%から11・8%になった新潟市立万代高校などが劇的に上昇したと言っていい。もともと35・8%と高い進学率を誇り、さらに54・3%にまで伸ばした新潟南高校もこの中に入れていいだろう。あるいは、小千谷高校や北越高校も伸長したと言っていいのではないか。
注目したいのは私立高校の数値。国立大進学者がいない高校は、20年前にはザラにあった。かつては「公立のすべり止め」色が濃かった私立高校だが、近年は進学指導や特色あるコース、全国大会レベルの部活動などで知名度と実績を高め、県内外から優秀な生徒を集める。ある高校関係者はこう話す。
「私学の台頭は、公立高校に刺激を与える意味でも喜ばしい」
逆の動きもある。国際情報高校は、04年度55・1%から24年度26・9%に大きく減らした。新津高校は、04年度18・4%から14年度26・9%まで伸ばしたものの、24年度は15・9%まで急落した。
広い県土を持つ本県には、地域ごとに「国立大合格者の多い名門校」が、かつては存在していた。しかし、教育施策の変化により、そうした地域の有力校から、より上位の進学校へ進む生徒が増加。少子化の影響も加わり、進学先が特定の学校に集中する傾向が強まった。その結果、かつて進学校として知られた高校が、時代の流れの中で看板を下ろしつつある。…続きは本誌で













