県内上場企業36社 徹底解剖
2025年01月27日
第四北越リサーチ&コンサルティングの機関紙「Monthly」1月号の特集によると、「2025年の新潟県経済は前年とさほど変わらない」と予測する経済団体が多かったようである。その新潟県経済を先頭に立って牽引しているのが上場企業と言っていい。プライム、スタンダード、グロースの主要3市場に本県企業は36社が上場している。本県経済1年の計を上場企業の“解剖”で占ってみる。
地方企業の嘆き
先の機関紙「Monthly」は、商工会議所や業界団体などに県経済の見通しを尋ねている。2025年の県経済は、24年と比べ「変わらない」とした団体は59%と半数を超えた。この前年である24年の見通しは、23年に比べて「やや好転」と回答した団体が42%だったので、今年は昨年に比べると、前向きになれる材料が少ないと見ている団体が多いようだ。
同紙はその要因を次のように分析している。
〈国内外の政治情勢が不安定となっていることから、景気回復の足取りの重さが示されている。〉
また、今年1年の課題を尋ねると、「人手不足・人材確保」を挙げる団体が多かったようだ。確かに茶飲み話をしていると、そんな声をよく耳にした。建設業界からは「真夏と真冬の異常気象多発もあって、高校生が現場仕事に見向きもしてくれない」という声が。ハウスメーカーからは「初任給で中央に敵わない」という嘆き節が…。
ここのところ、大手企業の大卒初任給額が話題になっている。30万円だ、40万円だと騒ぐ様は、まるで〝初任給バブル〟のよう。裏返せば、初任給を大幅に上げてでも優秀・有益な人材を確保し、人手不足の不安を解消したい企業の思惑が見えてくる。初任給を上げるということは、一般社員の待遇も良くするということでもある。業績好調かつ体力のある企業でなければ言い出せない。
先のハウスメーカー社長の嘆きは切実だ。
「初任給が30万円ということは、平均月給を50万円とか60万円にするという話。現行水準の3~4割増しという受け入れがたいレベルだ。我が社にそれをやれる体力はない。
とはいえ、賃上げを有名企業がやり出すと流れは止まらず、いずれ地方にも波及してくるし、相次ぐ物価上昇を見れば、社員の待遇改善はどうしてもやらねばならない。ベテランは大事だし、若くて優秀な頭脳も欲しいし、かといって(待遇面で)中央に適わな
いとなると、ちょっと手詰まり感が…」
年末年始にかけて日経平均株価は4万円を突破するなど、国内の景気は恐らく悪くないのだろう。なのに、実感に乏しいのは、企業も個人も物価高に苦しめられているからだ。そんな中で大卒の初任給30万円、40万円のインパクトはデカイ。
一方、「新潟県賃金労働時間等実態調査結果(令和5年度)」によると、本県の初任給は大卒が20万4938円、大学院卒が23万2745円。現状では30万円に遠く及ばない水準だ。
ある県内上場企業の経営者は、「県内には優良・優秀な企業がたくさんあるが、上場企業を含め広く知られていない現実がある」と常々言っている。上場企業が本県経済を牽引していると言っても過言ではなかろう。県内企業を代表する上場企業の業績などを解剖しつつ、中央との比較も試みてみる。…続きは本誌で