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2024年10月4日

三条市 工事も業務も最低制限価格線上の攻防

2023年11月27日

「金物のまち」の三条では、「公共工事で潤っている」といったイメージからか、とかく建設業やその関連には冷たいと言われてきた。だがものは考えようで、市外、県外の業者と競い合ってこそ業者も伸びる。鍛えることが大事とは、金物も建設業も同じかもしれない。

 

県内に本店を置く建設コンサルタント業者が言う。

「これが三条市の入札に関する一般競争入札の公告です。参加に必要な資格要件ですが、『新潟県内に本社、本店又は営業所を有するもの』となっています。市内本店とか、県の三条地域振興局の管内に本店とかにはなっていません」

 

この公告は今年6月30日に開札された「林道橋点検診断業務委託」に関するもの。工事ではなく業務委託の入札で、予定価格は297万円だから、三条市が発注するこの分野の中で、決して高額な案件ではない。

 

落札者は日本イシーク新潟支店。同社は大阪市が本社で、新潟市中央区に支店がある。日本イシークと同額のフダを3者が入れ、くじ引きによって同社が落札することになった。同額フダを入れたのは、同社のほか大輝新潟支店とトップライズ三条営業所。

 

前者は東京都府中市に本店があり、新潟市西蒲区に支店がある。後者は同市秋葉区に本店がある業者だ。そしてこの入札に参加しているもう1者、日建技術の本店は新潟市東区だ。「三条市の場合、よく言えば工事も業務も入札参加について風通しがよかった。ただし地元の建設業者や測量業者などからは反発もあったようです」(県央地区の測量業者)

 

これには三条ならではの伝統もあるようだ。

「ご存じのように三条は金物のまちで、三条商人が地元で生産される金物を全国に売り歩いたわけです。こうした土地柄ですから建設業などに対してはあまり頓着がない。そのため歴代の市長も、工事や業務について何が何でも地元業者を優先するという気風がないんです。入札の手法はこれまで都会と同じでした」

 

入札結果を示したのは業務委託も工事もごく一部のみ。業務委託の分野では、前出のように一般競争入札の参加要件が〈新潟県内に本社、本店又は営業所を有するもの〉となっている。一方、建設工事については〈三条市内に本社・本店・営業所〉となっている。だが一部示したように、工事でも業務でも三条市の入札は最低制限価格線上での攻防が目立つようだ。

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