• Clip to Evernote

2020年12月4日

1等米70%に回復か⁉ 令和2年産コシの泣き笑い

2020年10月27日

令和2年産コシヒカリの収穫が概ね終わった。地元紙は10月上旬、県産コシの1等米比率が70%台に回復したと報じた。昨年産コシは猛暑や台風の影響で20%台と無残だったので面目躍如といったところか。品質は回復したが肝心の食味はどうか。少雪、残暑と今年もまた天候不順に見舞われた本県。早い段階から不安の声を漏らしていた農家は少なくなかったが…。

 

倒伏が多かったという2年産

 

正式発表はこれからだが、どうやら県産コシの品質が回復しそうだ。米の価格は品質で決まる。高品質の1等米が一番高く、2等、3等の印が押されればそれより低い価格で買い取られる。

 

ただ今年は、コロナ禍の影響で米の需要が減少気味。相対取引価格は下落。「今年は例年になくきれいで大粒のお米が取れた」と喜んでいた佐渡市の農家は、「それなのに昨年より価格が下がるとやりきれない」と肩を落とす。

 

米の生育期で大事なのが出しゅっすい穂前後。文字どおり「穂」が「出」る前後だ。今年は梅雨明け後に猛暑にならず、コシの出穂期である8月上旬からお盆にかけて、コシにとっては「いい塩梅な天気が続いた」(中越地区の農家)。

 

そのせいか、複数の農家が「今年の米は大粒で、玄米も白米もきれいだ」と喜んだ。

 

ただ、不安はあった。雪が全く積もらなかったことだ。

 

「水不足が心配」

 

と春先、不安げだった農家は少なくなかった。水不足と共に、土壌の栄養分が過剰ないし不足しないか、土壌内の微生物の動きがどうなるか分からないといった声もあった。本誌はこうした不安を今年1月、新潟大学農学部の高橋能彦教授に聞いていた。

 

「春先に好天等で土壌が乾燥した場合、田植え後に土壌から窒素発現が増大し、水稲の生育が旺盛になりすぎる危険が出てきます。

 

本来、冬季で死滅する害虫が越冬して翌年、繁殖する懸念もあります。また、山間地で湧水等を利用している水田は春先に水不足になり、作付けが不能となる危険性が大きいです。大河川から用水を取水している地域はさほど問題ないと思いますが、中小河川だと春から初夏での水不足が懸念されます」

 

実際はどうだったか。

「春先に用水不足が懸念されましたが、それほど大きな問題にならなかったようです。

 

少雪でしたが1、2、4月の日照時間は平年と同様、3月で平年133時間のところ161時間と多かったです。しかしながら、乾土効果の発現で春先の土壌窒素発現が過大ということはなかったかと思います」 (同)

 

水不足を懸念していたというJAながおかは、5月中旬にこう回答していた。

 

「記録的な暖冬少雪で(水不足が)水稲作付に大きな影響を与えるのではと危惧していたが、今のところ水不足は確認されていない」

 

生育過程で稲が窒素肥料を吸い過ぎると生育しすぎて稲が倒れやすくなる。稲が倒れる(倒伏する)と、品質が低下し、食味の悪い米になりかねないという。

 

春の時点で窒素の発現は抑えられたと専門家は分析するが、一方で「倒伏した田んぼがやたらと多かった」とボヤいた農家がかなり多かった。

 

7月下旬、記者は県内各地の田んぼを見て回った。背丈が高く、葉色の濃い稲が多いとメモしていた。南魚沼市の農家に許可を得て稲の背丈を計測したところ、7月末時点で90㌢を超える田んぼあった。

 

「かなり長いな。ここは倒れるかもしれん」

 

そう呟いた農家のその田んぼは、8月末に倒れたと報告があった。記者のメモには「8月22日、新潟市江南区、倒伏」、「10月17日、新潟市中央区、倒伏。一部刈り取りせず放置」とある。…続きは本誌

  • Clip to Evernote