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2020年07月14日

猛威をふるった感染症VS人類の終わりなき戦い

2020年03月27日

人類を最も殺してきた病原体は結核菌で、累計死者数は10億人に上る。第二位は、天然痘ウイルスで3億人以上、1918年に発生したインフルエンザ(通称スペイン風邪)では少なく見積もっても3000万人が死亡している。第一次世界大戦の死者1500万人を軽く超え、第二次世界大戦の5000万人に匹敵する猛威をふるってきたのが感染症 VS 人類の歴史といえる。新潟大医学部細菌学の松本教授に感染症との果てなき戦いについて訊いた。(聞き手 本誌編集長 瀬戸田鎮郎)

 

結核による死者は21 世紀に入って、既に3000万人

 

瀬戸田 インフルエンザウイルスはくしゃみで10m飛沫しますが、コロナウイルスは2m程度で、それほど病原性の強いウイルスではないと聞いております。今回のコロナウイルス騒ぎは被害の実情から鑑みて過度の恐れすぎではないかと私は思っているのですが、先生の見解はどうでしょうか。

 

松本 確かに恐れすぎの感はありますが、コロナの新型肺炎はインフルエンザよりも10倍くらい致死率が高い。

 

中国では8万人の感染で3000人ぐらい亡くなっているので、3・75%の致死率。日本は3月12日現在、1・6%。インフルエンザの致死率は0・1~0・2%。

 

一方、※ SARS( 重症急性呼吸器症候群)の致死率は10%くらい、エボラ出血熱になると致死率は50~80%になるので、コロナウイルスの殺傷力の比ではない。

 

とはいえ、100人感染すると1人、2人は死に至っているので、やはり適切に恐れるべきだとおもいます。

 

注※SARS コロナウイルスが原因で2003年、中国南部広東省で発生。ベトナム、香港、カナダ、アメリカなどに広がった。全世界で8098人が感染、774人が死亡した。

 

瀬戸田 新型肺炎の発祥地である中国の武漢から3000人を超える多くの死者が出た要因はどこにあったのでしょうか。

 

松本 2つぐらいあると思います。1つはあわてて病院を作られたというぐらいですから、いわゆる医療インフラや医療の質がおそらく低い。今のところ根本的な治療法はないため対処療法になるのですが、対処療法の質が不十分で、死亡者が増えた可能性です。

 

もう1つは、実はもっと多くの感染者がいらした可能性ですね。

 

瀬戸田 天然痘はこれまで推定3億人〜5億人が死亡しているとの報告があります。1918年のスペイン風邪では2000万人から1億人も死んだとの報告もあります。

 

松本 そうですね、天然痘で3億人は、亡くなられています。スペイン風邪による死者は多く見積もって1億人、少なく見積もっても3000万人といわれています。当時の世界人口の三分の一に当たる5億人ほどが感染し、約10%にあたる5000万人が死に至ったといわれています。

 

当時は、今と違って治療法がなく、また新手のインフルエンザウイルスであったので、高い致死率となってしまったようです。

 

一方、最も被害甚大だったのは結核で、これまでの累計で10億人が命を落としています。

 

第二次世界大戦の死者を上回る猛威

 

瀬戸田 その結核ですが、今でも世界で年間150万人が、日本でも2200人ほど亡くなっているそうですね。

 

松本 はいその通りです。21世紀だけでも、3000万人が結核で命を落としています。

 

瀬戸田 第一次世界大戦での死者は1500万人前後で、第二次世界大戦の死者は5000万から8000万人ですから、結核やスペイン風邪の猛威たるや恐るべしですね。

 

松本 そうですね。また実は戦争での死亡者の中には感染症で命を失った方が数多く含まれています。銃とか爆薬で怪我をして命は拾ったものの、創傷からの二次感染や、南方ではマラリアなどに罹って死んだ方も多いと伺っています。ペニシリンの発見と投入が、戦傷者の数を劇的に減少させたのは、有名な話です。…続きは本誌に

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