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2024年05月3日

日本海メタンハイドレートの現実的希望

2015年06月29日

6月9日、新潟大学で独立総合研究所代表・青山繁晴氏の講演が開かれ、そこで日本海沖のメタンハイドレートを取り巻く事情についても言及された。かつては国や学術界から冷遇され、長く日の目を浴びなかった日本海沖のメタンハイドレート研究は、果たしてどこまで進んでいるのか。

 

“新潟の海に柱が立ち上がっている”

 

「今日は新潟ということで、なんといっても表層型メタンハイドレート、さらに拉致事件の話も避けて通るわけにはいかない。この二つの話題だけで、明日の朝5時までかかります」

 

6月5日、新潟大学五十嵐キャンパス中央ライブラリーホールで開かれた講演会は、論客として著名な青山繁晴氏の来県ということもあり立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。

 

青山氏は早稲田大学政治経済学部卒業後、共同通信社に入社、退職後は三菱総合研究所の研究員を経て平成14年に国内初の独立系民間シンクタンク「独立総合研究所」を設立。平成19年には近畿大学経済学部客員教授に就任している。テレビの報道番組等への露出も頻繁であり、鋭利な論評は多くの支持者が全国にいる。

 

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一方で青山氏は、日本海のメタンハイドレート調査活動も積極的に行っている。夫人であり独立総合研究所自然科学部長の青山千春博士の研究活動をサポートし、メディア等を通じた”発信者”として知られる。日本海のメタンハイドレートは2013年8月にようやく経済産業省がその存在を発表しているが、青山博士らはその15年も前から日本海のメタンハイドレートに着目し、独自に調査研究を続けてきた。

 

そうした背景もあり、新潟大学での講演に足を運んだ受講者の中には”新潟で青山氏がメタンハイドレートを語る”に期待を寄せた向きも多かったはずだ。限られた時間に数多くのテーマについて話をする中で、メタンハイドレートに触れた部分は極わずかだったが、内容的には示唆に富むものだった。

 

「メタンハイドレートは、天然ガスが凍っているものです。ハイドレートとは『水和物』という意味。天然ガスの主な成分であるメタンの周りをカゴ状に水分子が覆っているわけです。巨大な水圧で押され、太陽の光が届かない海底で氷になるのです。我々が2012年に直江津港沖で取り出したものは、見た目はコンビニで売っているシャーベットそっくり。これに火を近づけるとボッ!と燃えて青い炎が上がる」

 

「(太平洋側と違い)日本海側のメタンハイドレートは海底に露出しています。新潟の海にはこの柱がいっぱい立ち上がっている。平均の高さは東京スカイツリーと同程度。

 

我々がサンフランシスコの国際学会(AGU)でこれを発表した際、会場にいた関係者は二つの大きなショックを受けたのです。ひとつは、このメタンハイドレートが海の上層に上がっていくにしたがって圧力が小さくなり水に溶け、それが蒸発すると、メタンガスの地球温暖化効果は二酸化炭素の20倍です。採って燃やしたほうが環境にいいという資源があるのです。新潟の海も、このまま放っておいたら地球温暖化を明らかに推進していることになるのです。

 

もうひとつのショックは…続きは本誌にて

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