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2024年05月18日

生徒の遅刻2万人超 政令市・在来線の脆弱ぶり

2014年12月26日

新潟市は背筋が凍りつくような調査結果を公表していた。これによると、年間で延べ2万3000人以上の高校生が遅刻しているのだという。風が吹けば運休し、雪が降れば遅延する在来線が元凶だ。現場の怒りは収まらない。

 

運休・遅延が常態化

 

「以前にも増して電車の運休・遅延は頻繁になった気がします。羽越線の事故以来、少しでも風が吹けばすぐに止まる。決して大袈裟ではありませんよ」

 

仕事で在来線をよく使うというサラリーマンの実感だ。秋葉区から中央区に通う高校生は呆れている。

「冬場は特に電車の遅れが多いです。よく駅で待たされます。電車に乗れば乗ったでノロノロ運転。一度止まるといつ動くか分からない。信越線はまだマシのようで、越後線を使っている同級生は、冬になると遅刻常習犯扱いです」
p138

横浜市から新潟市に転勤してきた会社員のたとえは辛辣だ。

 

「カラスが鳴かない日はあっても、電車が運休・遅延しない日はないんじゃないか?」

 

政令市の公共交通、とりわけ在来線に対する評価が手厳しい。

 

首都圏在住経験者は、移動手段で公共交通の有り難みを肌で実感している。特に都心では、数分おきに、遅れもなく電車が到着し、遅れることなく発車する。乗り換えの移動距離が長い駅もあるにせよ、自動車で移動するよりは断然ラク。駅間も長くない。駅にはバスが乗り入れ、鉄道沿線でない場所への移動も不便を感じない。

 

新潟の公共交通が悪天候に弱いなら、首都圏の鉄道は「人身事故に弱い」(都心在住経験者)。仮に事故で電車が動かなくなっても、バスやタクシーなど代替手段はいくらでもある。新潟は代替輸送手段がないに等しく、「あってもバス。バスも悪天候になると渋滞に巻き込まれて遅れる」(中央区在住の会社員)。

 

記者自身、政令・新潟市の公共交通は、首都圏並みとは言わずとも、それに近い利便性になるものだと期待したものだ。

 

2014年3月に解散した新潟市のシンクタンク「新潟市都市政策研究所」は、解散直前に「にいがたアーバン鉄道ネットワークのサービス評価(公共交通の再構築)」を発表した。

 

同研究所は2013年5月から、新潟市近郊の鉄道利用客から意見を募集。問題点を炙りだした上で現地調査を実施した。さらには鉄道利用者のワークショップを開き、ウェブ上でさらに意見を募った。

 

その結果、近郊の在来線には「5つの切実な問題」があるとまとめた。…続きは本誌にて

 

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