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2024年05月6日

それでも”新潟経済界は対中国ビジネスに活路を求めるのか?

2013年03月25日

日本と中国の尖閣をめぐる緊張関係は、今年一月の“レーザー照射事件”でピークに達している。一方でやはり日本経済は中国依存から抜けきれない現実もある。果たして政治・イデオロギーと経済は切り離して考えるべきなのか。伊藤忠商事取締役から中国全権大使を務めた丹羽宇一郎氏の講演を元に紐解く。

 

“切っても切れない”

 

3月8日、新潟市で開かれた「中国ビジネス特別セミナー」(主催・ERINA、ジェトロ新潟貿易情報センター)で基調講演の講師に呼ばれたのは“あの”丹羽宇一郎氏だった。

 

丹羽氏と言えば、伊藤忠商事で取締役在任中の2010年、民主党政権から中国特命全権大使に任命され、2年以上にわたって務めた人物。言ってみれば尖閣漁船衝突事故で日中関係が悪化しはじめた直後から、日本政府による尖閣の土地購入という、まさに両国緊張のピークに在職した。12年8月には北京市内の路上で反日デモの襲撃を受けている。

 

一方で、石原慎太郎東京都知事(当時)の尖閣土地購入計画に対して“実行されれば日中関係に重大な危機をもたらすことになる”と発言するなど“中国に寄った”発言も多く、国内の保守系言論界からは“親中派”を越えた“媚中派”として語られている面もある。

丹羽前中国大使

 

 

ちなみにこの日の講演ではさほど過激な“媚中発言”はなかった。

 

 

セミナー当日は、用意された200人の席があっという間に埋まり、その中には新潟の有力財界人も散見した。日中関係が緊張する中で、丹羽前大使を招いての中国ビジネスセミナーは、一般にとってみればいささかの違和感があるかもしれないが、経済人の捕らえ方は違う。政治・イデオロギーで対立しても経済は“別腹”というのが現実なのだろう。

 

丹羽氏は冒頭にこんなことを言う、

 

「最近、皆様方に関心が深いのは“空気の悪さ”だと思います。それは『PM2・5』のせいもありますが、言論界の空気の悪さもあります。日中関係においても不用意な発言をされる方が多い。その一言一言が、中国にいる日本人にとっては胸に刺さる思いでもあります。少しは中国にいる日本人の生活を、気持ちを考えて欲しい。外国で日本企業のために働く人たちのことを」…続きは本誌にて

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