富山市と宇都宮巣の事例から新潟の公共交通が見えてくる
2026年10月27日
車が使えなくなっても、通院や買い物、仕事に出掛けられるまちをどうつくるか。9月12日、新潟県立生涯学習推進センターで第3回「公共交通シンポジウムin新潟」が開かれた。新潟市の現状報告に続き、富山市と宇都宮市で交通政策を担った2氏が登壇。公共交通とまちづくりを一体で進める考え方や、市民との合意形成を語った。
広がった市街地と縮小するバスの担い手
新潟市都市政策部長 高島康憲氏
新潟市の公共交通を考える上では、まず市街地の広がりを抑える必要があります。1970年から85年までの15年間で、人口集中地区の面積はおよそ2倍に拡大しました。市街地の拡散とともに自動車利用が増え、交通手段に占める自動車の割合は7割を超えています。
一方で、バスの利用者は長期にわたり減少しました。1990年から2010年までの20年間で約3分の1となり、運行便数も2001年から12年までの間に約2割減っています。利用者が減るとサービスの維持が難しくなり、減便によってさらに利用しづらくなる。この循環に歯止めをかけるため、
2015年に新バスシステムを導入しました。
考え方は、まちなかで重複していたバス路線を再編し、そこで生まれる車両や運転士の余力を郊外の路線に振り向けるというものです。都心では連節バスによって輸送力を確保し、市全体の公共交通を維持していくことを目指しました。
導入後、バス利用者は回復しましたが、コロナ禍で再び大きく落ち込みました。その後は回復傾向にあるものの、コロナ禍前の水準には戻っていません。
さらに深刻なのが運転士不足です。2026年度の運転士数は、コロナ禍前の2019年と比べて約27%減少しています。高齢化も進んでおり、今後も担い手の確保が課題になります。
市は、大型二種免許の取得支援や移住に関する支援などを通じて、運転士の確保と定着を後押ししています。同時に、連節バスによる輸送の効率化、シ
ニア向けの割引、バス利用促進策などを組み合わせています。利用者の増加が運賃収入の改善や人材への投資につながり、サービスを維持・向上できる循環をつくることが必要です。
JR新潟駅では、鉄道の高架化を経て、2024年3月に駅直下の新しいバスターミナルが開業しました。駅の南北をバスが通り抜けられるようになり、従来分かれていた市街地をつなぐ交通軸が生まれています。2025年3月には越後線上所駅も開業し、鉄道とバスがそれぞれの役割を担うネットワークづくりを進めています。
新ターミナルの開業前後では、とりわけ鳥屋野潟南部方面のバス需要に変化が見られます。学校の移転やキャンパスの集約に加え、住宅地の広がりもあり、駅南方面の移動需要が高まっています。鳥屋野潟南部では新たな住宅開発も進んでおり、今後の需要を見据えた対応が必要です。
そこで今年度は、連節バスを駅南方面で活用する社会実験に取り組んでいます。まず4月から5月にかけて乗客を乗せずに試走し、停車位置や安全性、一般交通への影響を確認しました。6月から7月には、長潟線の朝の新潟駅発の便で、乗客を乗せて運行しました。
実験では、大きな輸送力を生かした混雑の緩和が確認できました。従来の車両では乗り切れなかった利用者が乗車でき、一般交通への影響についても大きな課題は見られませんでした。こうした検証を踏まえ、需要の変化に合った運行を考えていきます。
新潟駅周辺の整備、鳥屋野潟南部の開発、白山地区のスポーツ施設再編など、まちの動きは続いています。駅を中心に南北を結ぶ交通軸を形成し、まちづくりと公共交通を連動させていくことが大切です。…続きは本誌で













