北陸と開く“大学合格力”の差
2026年09月25日
概ね2、3教科(科目)の学習で済む私立大学受験に対し、標準で6教科8科目の学習が必要な国公立大学受験。その国公立大学のうち、最難関である旧帝大の〝合格力〟が大幅に低下している実情を先月号でお伝えした。近隣県との比較に加え、大学ごとの合格力を見ていくと、本県のある特徴が浮かび上がった。
8科目を戦う国公立受験の重さ
「6教科8科目も勉強しないといけない国公立大学の受験対策は、『苦行』と言ってもいいかもしれません」
と話すのは、新潟市と長岡市で学習塾を運営している佐藤塾の佐藤祥太代表取締役社長兼塾長だ。
陸上競技に「混成競技」という種目がある。高校生で言えば、男子が八種競技(一般は十種競技)、女子が七種競技(一般も同じ)だ。「走る、跳ぶ、投げる」力を、男女とも2日間で競う。上位進出にはできるだけ不得意種目をなくし、まんべんなく高
得点を取る必要がある。
国公立大学を受験する場合、大学入学共通テスト(共テ)で2日間計8科目をこなす必要がある。1点でも多く得点することが志望校に合格する鍵であることは言うまでもない。佐藤氏が共テを、混成競技にたとえて言う。
「国公立大学を受験するには、大学によっては4科目前後でも受験可能ですが、標準では8科目が必要です。
高校3年の夏までは学校の授業が中心で、共テ対策は夏休み前後から(始める)という流れが多くの受験生かと思います。よく考えると、夏休みから(共テ本番まで)の約半年間で、約2年半の学習の総まとめをしないといけないわけです。しかも8科目も。これを苦行と言わず何と言えばいいのでしょうか……。
混成競技と共テは多くの共通点があると思います。8(7)種目・科目の練習・演習を、本番まで毎日のように繰り返す。不得意種目・科目が少ない人が上位に進出する。混成競技の優勝者はキング(クイーン)・オブ・アスリートの称号を与えられ、共テの最高得点者は大学界のトップに君臨する東京大学合格に近づく。
国公立大学受験の道のりは、混成競技にたとえられるように、平坦ではないということです」
東大を目指す受験生であっても科目ごとの得手・不得手はあるだろうが、致命的な弱点を残しにくいのが最上位層の強さとも言える。ごく普通の受験生は、文系科目、あるいは理系科目が苦手なケースが多い。不得意科目を克服できないまま共テ本番を迎える受験生もまた多い。
別の教育関係者は、新潟県の特徴を踏まえ、次のように言う。
「新潟県では、学校の先生も保護者も、受験生に国公立大学を勧めたがる傾向があります。学費が安い、地方ではトップ大学が地元の国公立大学であるなど、様々な理由があるでしょう。新潟なら新潟大学がそうですよね。
でも、受験する側(受験生)からすれば、これほど厄介で面倒でハードルの高い注文はありません。本音は得意科目だけで勝負したい。そういう受験生は少なくありません。でも、親や学校の希望が国公立大学ということで不得意科目の克服に頑張る。それで国公立大学に合格できればいいわけですが、実際は太刀打ちできず私大へというケースも多々あります。その進路に後悔がなければまだしも、不本意入学もあるわけです。
最初から私大専願にしておけば、もう少し上位の大学に合格できたかもしれない……という後悔をよく聞きます」
先月号で見た国立最難関である旧帝大合格力の低下は、学力上位層が薄くなっている可能性を示唆した。一方で、早慶上理やMARCHといった難関私大群の合格力は上昇していた。それはまるで、「国公立大学信奉」からの転換を促しているかのようだった。これから紹介するデータは、さらに新たな視点を与えてくれた。…続きは本誌で













