圏内一部私大の定員割れをにらんだ「高等教育の再設計」
2026年08月27日
少子化を背景に、県内の一部私大で定員割れが常態化している。これが大学の縮小や撤退につながれば、失われるのは進学先だけではない。医療・福祉、行政、地域産業を支える人材の育成基盤にも影響が及ぶ。危機感を共有する県内高等教育機関は7月30日に会合を開き、行政や産業界も交えて将来の人材育成を考える協議体づくりに動き出した。県内高等教育機関が、行政や産業界も巻き込んだ将来の人材育成と高等教育の「再設計」に動き出した。
大学がなくなれば地域人材も育たない
地域から大学や短期大学がなくなったとき、誰が看護師や保育士、自治体職員、地域企業の社員を育てるのか――。
県内の大学関係者が一堂に会し、県民や産業界に投げ掛けたのは、単に大学経営の窮状を訴えるだけの話ではなかった。急速な少子化の中、県内で高等教育を受けられる環境と、地域社会を支える人材の育成基盤を、将来にわたってどう維持するか、という問題提起だった。
中央教育審議会は2025年2月、2040年を見据えた高等教育の将来像を示した。急速な少子化が進めば、定員数百人から1000人程度の中規模の大学が、毎年約90校減るのに相当する規模で学生数が減少。定員未充足や募集停止、経営破綻に追い込まれる高等教育機関が増える可能性があるという。国も、大学同士の連携や再編を地域単位で考える必要性を打ち出し、その協議の場となる「地域構想推進プラットフォーム」の構築を促している。
新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」で開かれた7月30 日の会合こそが、「プラットフォーム」構築の第1歩となった。会合で新潟大学の染矢俊幸学長は、「一つ一つの大学の経営問題というだけではなく、この地域で若者が学ぶための環境を、これからどう維持できるかという大きな問題だ」
と述べ、定員割れを一大学の経営問題として捉えるべきではないと強調した。
地域の高等教育機関が姿を消せば、若者の進学先が減るだけでなく、卒業後に地域を支える人材も確保しにくくなる。こうした現状を染矢学長は「教育や大学経営をはるかに超え、地域の将来の持続可能性を左右する問題」と位置付け、大学、自治体、経済界、報道機関を含めた社会全体で取り組む必要性を訴えた。
新潟青陵大学などを運営する新潟青陵学園の篠田昭理事長も、より切迫した言葉で危機感を示した。
「地方の大学、短大が弱っていくということは、地方そのものが衰退していくことに直結する」
大学の縮小や撤退は、キャンパスから学生が減るだけでなく、医療や福祉、保育、行政サービス、地域産業を支える人材の供給が細り、やがて県民の暮らしの質に跳ね返る。大学側が今回、最も伝えようとしているのは、この負の連鎖だ。
本誌は2025年1月号で、少子化を背景に私立大学の〝勝ち組、負け組〟の仕分けが始まっている現実を取り上げた。大学進学者が将来大きく減る一方、大学の入学定員は高止まりし、全国で定員割れ私大が増加。とりわけ規模の小さい私大ほど厳しく、規模、立地、受験難度という優位性を持たない大学が苦境に追い込まれている実態を、データをもとに指摘した。
本県の私立大学も例外ではない。むしろ、前述した「規模」、「立地」、「受験難度」の優位性を持たない大学が多く、厳しい環境に置かれている。何の対策も講じないまま2040年を迎えれば、県内私大のうち6校が消滅する可能性があるとの試算も示した。
18歳人口が減り続ける中、各大学が従来通り個別に学生を集め続けるだけでは限界がある――というのが当時の問題提起だった。
本誌が1年半前に指摘した問題に対し、県内大学側が「個々の大学の問題ではなく、県全体で考える」という方向へ動き始めた。それが7月30日の会合だった。…続きは本誌で













