観光を地域の仕事に変える視点に変える視点に若者は惹かれる
2026年05月27日
観光は、観光業だけのためにあるのではない。空き家を生かし、商店に人を呼び、祭りや食文化を守り、若者が戻りたくなる仕事をつくる。その意味で観光は、地域の将来そのものに関わる公共的なテーマである―。田口一博・新潟県立大学准教授はそう説く。新潟が抱える人口流出や地域経済の停滞を前に、いま必要なのは、住民が当たり前だと思っている日常に光を当て、それを来訪者の体験へと変えていくことだ。地域にすでにあるものをどう見直し、どう結び直すのか。そこに、“新潟創生”の手がかりがある。
「揉めている県」に若者は戻ってこない
5月31日は県知事選挙です。原発が争点になりがちだったこれまでの県知事選ですが、今回はどうなるでしょうか。
新潟の将来を考えるときに、まず確認しておきたいのは、原発を再稼働するのか、しないのかという二項対立だけで地域の未来を語る時代ではなくなっているということです。もちろん、原発の問題が重要でないという
意味ではありません。ただ、それだけを争点にして、若い人が新潟に残りたいと思うのか。県外の人が新潟に行ってみたいと思うのか。そこは、かなり冷静に考えなければなりません。
いま必要なのは、新潟を「原発で揉めている県」として見せることではありません。新潟で働いてみたい、新潟で学んでみたい、住んだら楽しそうだ、若い人を大事にしてくれそうだ、一度外へ出ても戻ってきたい。
若い人がそう思えるような物語を、県全体としてどうつくるのかが問われているのです。
その入口の1つが観光です。ここで言う観光は、観光客を何人増やすかという話ではありません。宿泊事業者だけが潤えばいいという話でもありません。観光客が訪れることでまちの商店が潤う。交通機関が維持される。空き家が使われる。祭りや食文化が残る。そして若い人が、「ここで商売をしたら面白いかもしれない」と思う。そこまで含めて観光を地域政策として考える。そのような意味合いの〝講義〟をしたいと思います。
新潟の観光というと、どうしても雪国、スキーという発想になりがちです。けれども、そもそもスキー場は冬場の仕事をつくるために出てきたものです。夏に米を作り、山菜やキノコを扱い、漬物を作る。そういう暮
らしがまずあった。その暮らしの中に、冬に仕事がなくなるからスキーが入ってきた。スキーが主役だったわけではないのです。
地域の暮らしがあり、農があり、食があり、雪がある。その全体をどう生かして、1年を通じて人が暮らせる地域経済をつくるか。それが本来の順番です。
新潟県に雪を降らせないことはできません。だとすれば、雪が降る土地としてどう仕事をつくるのかを考えるしかありません。夏にしっかり稼げるなら、冬は休んでもいい。冬に稼げる仕組みがあるなら、夏は別の楽
しみ方をつくってもいい。大事なのは1年中、無理なく暮らせる地域にすることです。…続きは本誌で













