年収600万円超も不人気⁉ 県内公務員給与の現在地
2026年03月27日
民間賃金の上昇が続くなか、公務員給与もじわりと持ち上がっている。新潟県人事委員会が示した2025年の官民比較では、県職員の月給は民間を9693円、新潟市職員は1万611円下回り、いずれも引き上げ勧告の流れとなった。是正後の県職員平均年収は651万円、新潟市職員は661万円。数字だけ見ればなお「安定した好待遇」に映る。だが現場では、売り手市場を背景に民間との人材獲得競争が激しさを増し、給与だけでは人が集まりにくい時代に入っている。物価高も重なり、「600万円台」という額面の重みが失われつつある。
売り手市場に苦しむ公務員採用
公務員の給与決定プロセスは図(給与改定の手順)のとおり。まずは「職種別民間給与実態調査」によって民間の動向を把握することから始まる。調査の結果、令和7年は、新潟県では民間給与が職員給与を月額にして9693円(2・55%)上回っているというデータが示された(表1―①)。
これを受け、人事委員会は「民間との差を埋めるための給料表の引き上げ」と「ボーナス(期末勤勉手当)の0・05ヵ月分引き上げ(計4・65ヵ月)」を勧告。その結果、勧告後の県職員(平均43・8歳)の平均年収は、前年より18万3000円増の651万1000円となる見込み。新潟市においても同様の傾向が見られ、民間との1万円以上の差を埋めるべく、年収ベースで約20万円の増額が示された。
ここ数年、公務員給与の増額幅が大きい。にもかかわらず、公務員人気は低調だ。民間給与が上がったから公務員給与も上がったわけで、実はここに「公務員不人気」の一因がある。民間が上がれば公務員も上がるが、その局面では人材は民間に流れやすい。とりわけ近年は、初任給の引き上げや福利厚生の拡充を打ち出す企業が相次ぎ、若年層の就職観も安定一辺倒ではなくなった。公務員給与は民間準拠で是正されても、それはいつも半年遅れで行われる。つまり、民間賃金の上昇を受けて勧告で是正される仕組みのため、採用市場では民間の賃上げ競争の後追いになりやすいのだ。
事実、辞退率が50%を超える自治体は珍しくなく、民間企業に流れている実態をマスコミは報じている。
さらにはこんな声もある。
「県土の広い新潟県より市町村を選ぶ若者が増えているようだ」 (県内某自治体職員)
同じ公務員なら、広域異動の可能性がある新潟県より、地元密着の市町村に流れている可能性があるという指摘だ。待遇が改善されても、より好待遇の民間に流れ、あるいは公務員になるにしても広域異動を伴わない市町村を選ぶ傾向が高まっているようだ。
話を先に進めよう。
人事委員会の勧告を経て改善された新潟県職員のモデル給与を見てみたい(表1―②)
35歳だと年収が514万円から531万円にアップするという。本誌3月号の「民間給与編」を読まれた読者はピンときたかもしれないが、民間の平均年収452万6400円( 48 ・5歳=賃金構造基本統計調査)を、公務員なら35歳で大幅に上回る。数字だけを見れば、公務員の好待遇が際立つ。
それでも「公務員不人気」なのは、給与以外の「働きがい・生活の自由度・将来像」などが重視される時代になったからだろうか。…続きは本誌で













