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2026年02月27日

白髪は体が皮膚がんを食い止めた防衛の証かも⁉

2026年02月27日

「白髪は加齢のせい」と一言で片付けるのは、白髪に対して失礼なのかもしれない。東京大学医科学研究所の研究チームは、髪の色を生む色素幹細胞が自ら役目を終えて排除されると白髪になり、同時に悪性皮膚がん「メラノーマ」の芽を摘むとの研究結果を発表した。白髪は単なる老化現象ではなく、がん細胞に対する防衛の痕跡らしい。

 

白髪の背後で起きていた色素幹細胞の自己犠牲

 

「白髪は老化現象のひとつ」―。美容の世界でも医療の世界でも、長くそう語られてきた。しかし東京大学医科学研究所の西村栄美教授と毛利泰彰助教らがこのほど発表した研究結果は、その固定観念を覆すもので、世界的に大きな話題を呼んでいる。

 

白髪は毛包(毛根を包む組織)にある色素幹細胞と、その子孫が枯渇して起きる。つまり白髪とは、体内のある細胞集団が「もう増えない」「役目を終える」と決めた結果、外から見える形で現れた現象だという。

 

これまで専門家の間では、加齢とがんは別個の問題として語られがちだったとされる。ところが現実には、多くの組織が加齢とともに機能低下を示す一方で、がんの発生頻度も上昇。

 

近年はDNAシーケンス(DNAを構成する塩基の配列を特定する技術)の進歩で、見た目は正常な若い組織でも、変異を抱えたクローンの拡大がすでに始まっていることが分かってきたという。

 

老化細胞の蓄積や炎症、代謝など多様な因子の研究が進む一方、「老化とがんが、いつ、どこで、どう分岐するのか」といったメカニズムは詳しく解明されていないとされる。

 

こうした中、前出の研究チームが皮膚、とりわけ白髪に着目したのは、日常的に観察できる老化形質が、分岐点の読み解きに向いているからだという。

 

研究チームによる今回の研究成果は2025年10月6日付で英科学誌『Nature Cell Biology』オンライン版に公表された。

 

大きな鍵を握るのが色素幹細胞(メラノサイト幹細胞)で、色素幹細胞は髪の色素(メラニン)を生み出す役割を持つ一方で、悪性の皮膚がん「メラノーマ」の発生源にもなり得る。

 

しかし、この色素幹細胞が自ら幹細胞としての役割を終える、つまりがんの発生を食い止めると、色素が生み出されなくなって白髪になるのだという。

 

つまり白髪が増えるのは単に色素が減ったからではなく、体が「危ない細胞を残さない」と決めた結果かもしれない、と研究結果は示唆しているのだ。…続きは本誌で

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