血圧に関する常識・非常識
2026年01月27日
「高血圧の診断基準は?」―。この問いに対して、人によってさまざまな答えが聞かれる。「上は160まで正常だろう」「最近は130から高血圧らしいぞ」…。いずれも間違いで、血圧の分野には「診断基準」「受診勧奨」「治療目標」といった似て非なる物差しが複数あるため、このような誤解が生じるのだ。血圧に関する常識・非常識を詳しく見ていく。
「診断基準」と「受診勧奨」は別物
「血圧160までは正常だろ?」―。こうした“血圧160までセーフ説”を信じている人は意外に多い。飲み会の席で血圧の話題が出ると、酒の酔いも手伝って「160は高過ぎだろ」といった忌憚のない意見が飛び交うが、素人同士がいくら議論しても結局のところ正しい結論は出ないものだ。
そもそも数値が高血圧の診断基準なのか、受診が必要なレベルなのか、それとも健診で引っかかるラインなのか、話す人によって“物差し”が異なることが往々にしてある。
まず押さえたいのは、「診断基準」と「受診勧奨」は別物だという基本だ。
日本高血圧学会のガイドラインが示す高血圧の診断基準は、診察室血圧140/90㎜Hg以上、家庭血圧135/85㎜Hg以上。診察室血圧とは文字どおり診察室で測定する血圧の数値で、家庭血圧は同様に家庭で測定する血圧の数値だ。一般的に家庭で測定するよりも診察室で測定するほうが血圧は高めに出ることから、このような数値を定めている。
一方、健診や保健指導の現場には別の基準がある。たとえば160/100㎜Hg以上は「ただちに医療機関の受診を強く勧める」とされる受診勧奨の基準として示されることが多い。つまり前出の“血圧160までセーフ説”は明らかな間違いで、これを信じていると受診のタイミングを大きく逸してしまいかねない。
内科医はこう説明する。
「診断基準が病名を付ける入口なのに対して、受診勧奨は危ないかもしれないから早く医師に診てもらいましょうという数値です。医師は治療の開始や目標をその人のリスクを見て決めます。

たとえば同じ150台でも喫煙歴があり、糖尿病があり、腎機能が落ちている人に医師がより強い介入をする一方で、測定直前に走って健診会場に滑り込んだ人には、“まずは正しい条件で家庭血圧を測定しましょう”と促すことになります」 (新潟市の内科医)
以下は、血圧の数値をめぐる私たち一般人の会話のイメージだ。
A「俺は上が158。まあ160を切ってるしセーフだよな」
B「いやいや、最近は130から高血圧ってネットで見たぞ。キミはアウトだろ」
A「じゃあ、オマエもアウトじゃん。さっき135って言ってたろ」
B「俺は病院で測った値だし、家で測ればもっと低いよ、たぶん…」
C「ちょっと待て。診断基準と受診勧奨をごっちゃにしているよ」
このように血圧には目的の違う“物差し”が複数存在する。異なる“物差し”をごっちゃにすると、数字ばかりが独り歩きしてしまうため注意が必要だ。…続きは本誌で













