タイに潜伏する特殊詐欺グループの全貌を追う(後編)
2026年01月27日
日本人特殊詐欺グループは、そのほとんどが暴力団や暴走族の元メンバーらが結束した準暴力団が背後で糸を引いているという。
特に暴力団は暴力団対策法の施行によって活動しづらくなっているため、若者を使い捨てのようにタイへ送り込んで特殊詐欺の電話担当、いわゆる「かけ子」をやらせている実態がある。後編ではタイがなぜ日本人特殊詐欺グループの活動の舞台となっているのかリポートするとともに、警察当局との癒着にもメスを入れる。
「かけ子」の取り分は騙し取った金額の5%
前編ではパタヤのプール付き高級住宅を特殊詐欺の“コールセンター”として利用していたグループや、飲食店の上階に潜伏していた日本人特殊詐欺グループの摘発の模様をお伝えした。
後編となる本稿では、特殊詐欺グループの組織内部での騙し取った金の配分、タイ社会との歪んだ結び付き、そして若者たちがどのようにして悪事の渦に巻き込まれていくのかを関係者の証言をもとにリポートする。
まずは被害者から騙し取った金の配分について。タイ警察関係者は「組織内部での金の配分方法は厳密に決まっています」と断言する。
そしてこの警察関係者は記者の取材ノートの片隅に円グラフを描いてみせた。通訳によると、そこには「かけ子」「警察官役」「検察官役」を意味するタイ語が書かれているという。
警察関係者が説明する。
「最近の特殊詐欺は“警察官”や“検察官”に成りすまして被害者から金を騙し取る手口が多いですが、被害者から騙し取ったお金の取り分は一般的にかけ子が5%、警察官役が6%、検察官役が7%だといわれています。
たとえば一人の被害者から500万円を騙し取ったとしましょう。それぞれの取り分は、かけ子が25万円、警察官役が30 万円、検察官役が35万円。そして残りの約410万円を組織のトップや日本国内で受け子を指揮する幹部、受け子、タイでマネーロンダリング(資金洗浄)を担当するメンバーらに配分するのです」(タイ警察関係者)
この警察関係者によると、日本人特殊詐欺グループの拠点に踏み込んで押収したノートには、電話を掛ける相手先の氏名、住所、生年月日などが詳細に記載されていたという。
この警察関係者がいう。
「押収したリストには数千人分の情報が記されていました。そのほとんどが60代以上の日本人です。特殊詐欺グループがこうした名簿をどこから入手しているのかは分かりませんが、かなり精度の高い個人情報でした」 (同)

特殊詐欺グループにとって、かけ子は被害者と最初にコンタクトを取る重要な役回りだ。それだけにノルマを達成できなかったときには上の者から怒鳴りつけられたり、場合によっては暴力を振るわれたりすることもあるのだという。
にもかかわらず、かけ子の取り分は5%と他のメンバーに比べて少なく、極端な話、被害者から1億円を騙し取ったとしても500万円しか報酬を得ることができない。
このタイ警察関係者は「特殊詐欺は末端の人間ほどリスクが高く、それでいて報酬は少ない。典型的な犯罪ビジネスモデルです」と吐き捨てるように話した。…続きは本誌で













