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2025年12月14日

県内私大は有名私大より難関になった⁉

2025年10月27日

大学受験生は、難易度の異なる複数の大学に合格した場合、結果的に、より偏差値の高い大学を選んでいる。本誌はそれを証明できる十数年分のデータを持っており、その傾向は十中八九と言っていい。理由を察すれば、難易度の高い大学は一般的に知名度が高く、社会からの評価も高い。進学、卒業すれば自身の経歴に箔が付くと思うからだろうか。その偏差値だが、いろいろな意味で注意して付き合ったほうがいいということを本稿で示す。

 

「大学の難易度は地方より都会が上」という刷り込み

 

ある小学校教員の話が印象的だ。

「この春から生成AIを勉強し始めたのですが、AIに指示を出す『プロンプト』と呼ばれる指示文を考えるのに、かなりの思考力が必要だと気づきました」

 

実践すると分かるが、「雑誌が売れる企画を考えて」というプロンプトと、「新潟県内で働く50代以上のビジネスパーソンに刺さる雑誌の企画を考えて」というプロンプトでは、出力される内容はまるで違う。ほんの少しの思考の深さが成果を左右するのだ。この教員が続ける。

「私が生まれ育った県内の某地域は、一般的に田舎と言われていて、『勉強なんてしなくていい』という主張に結び付く『学歴不要論』がいまでもあります。でも、AIの時代になると、そんなことは言っていられないと痛感しました

 

難関大学の入試は、受験生に極めて高度で複合的な考える力を要求します。結果的に難関大学に合格できなくても、チャレンジできるくらいの高度な思考力は、いまの子供たちに身につけさせないといけないのではないか。

 

小学校にいると、普段は大学や偏差値のことは意識しません。この春以降は、1人でも多くの子供が、首都圏にあるような難関大学を目指せるくらい、考える力を身につけてもらいたいなと思うようになりました」

 

前フリが長くなって恐縮である。本当なら、「偏差値と考える力」について執筆したいところだが、それは機会を改める。ただし、この教員は極めて本質的な教育論を述べていたことを付記しておく。

 

偏差値の高い大学は、どうやら地方に少なく、首都圏など大都市圏に多く存在する…。学校の先生ですらそう思っているらしい。本筋としてそれは間違いない。後述するが、最近はかつての序列が崩れていることは知っておいたほうがいい。

 

たとえば、「旧帝大」(北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州)というくくりはこれまで同様、最難関の国公立大学群であることには違いない。「早慶上理」(早稲田、慶應義塾、上智、東京理科)が最難関私大群、「MARCH」(明治、青山学院、立教、中央、法政)、「関関同立」(関西、関西学院、同志社、立命館)が早慶上理に続く準難関私大群、「日東駒専」(日本、東洋、駒澤、専修)がMARCHに続く中堅私大群、「大東亜帝国」(大東文化、東海、亜細亜、帝京、国士舘)が日東駒専に続く準中堅私大群で
あることも、一般的に言われていることであり、長らく大学の序列として定着してきた。

 

これら私大群の中に地方の大学は1つもない。こうして「大学の難易度は地方より都会が上」という意識が長年刷り込まれてきた。先ほどの先生のような思い込みをしている人も少なくないはずだ。…続きは本誌で

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