大学生活を支援する給付型奨学金・学費免除
2025年09月26日
「大学進学にはお金がかかる」。これは誰もが知る事実だが、実際にどの程度の費用が必要で、どのような奨学金や学費免除制度があるのかを、正しく理解している高校生や保護者は意外に少ない。大学進学を目指す場合、大学や地域特有の支援や制度の違いを知っているかどうかで、進学後の経済的な安心感は大きく変わる。共通テストや総合型選抜の出願が始まるなど、2026年度入試は火ぶたを切った。そこで、大学の学費や学生の生活実態を示すデータをもとに、奨学金や授業料免除制度の仕組みと注意点を解説する。さらに、受験生・保護者が見逃しがちな落とし穴を整理し、安心して進学準備に臨むための実践的なガイドラインをお届けしよう。
学費はいくらかかる?
「大学進学で最大のハードルは?」と聞かれたら、人によっては学力と答え、人によってはカネと答えるだろう。筆者は学校を含む教育関係者から、毎年のように聞く言葉がある。「保護者の地元(または国公立大学)縛りがあって…」
要するに、家にお金がないから、大学に進学する場合は地元の大学または国公立大学限定というケースがあるというのだ。その結果、希望進路の実現の意味では、思うような進路指導ができないことがままあるという。
大学進学にはいくらかかるのか?

そこで、新潟県内限定ではあるが、入学金、授業料、諸経費、これらを足した初年度納付金を大学ごとにまとめてみた(表1)。予めお断りするが、大学の学費や後段で紹介する奨学金などについては、主に過年度の情報を参考にしているので、最新情報を必ず各自で確認していただきたい。
県内国公立大学のうち、新潟、長岡技術科学、上越教育、新潟県立の各大学は、初年度納付金が81万7800円だ。多くの国立大学がこの金額だが、東京大や一橋大、千葉大など、いくつかの国立大学で学費を値上げしているので確認してほしい。
公立大学の場合、地元出身者とそれ以外とで、納付する金額に差がある場合が多い。大半は入学金に差を設けている。表中、新潟県立大と新潟県立看護大は県内出身者の金額のみ掲載したが、県外出身者は表示金額より高い。
私立大学は、文系学部で120万~130万円、理系で180万円前後、医療・福祉系で200万円前後かかることが分かる。
ここで注意すべきは、「初年度納付金」という総額に含まれる内訳だ。入学金は一度きりの支払いだが、授業料は毎年必要となり、その他経費には実習費・施設費・諸会費(学会費、同窓会費等)などが含まれる。入学金と授業料以外は見落としがちなので注記しておく。
いざ大学生活が始まると、次のようなものにもお金がかかることを覚えておこう(金額はあくまで目安)。
▼教科書・参考書代:年間3万~8万円
▼実験・実習費:理系学部で年間5万~15万円
▼通学定期代:月額5千円~2万円
▼パソコン・ソフトウェア・Wi-Fi: 10 万~30万円
下宿すればアパート代、水道光熱費、食事代なども発生する(後述)。
いくつか〝先輩〟たちの声を紹介しておこう。
「1年目は教科書代だけで8万円かかりました。先輩から中古で買えることを教わって、2年目からは半分程度に抑えられています」 (県内私大理系)
「初年度納付金は覚悟していましたが、教科書代が想像以上でした。専門書は1冊5千円以上するものもザラで、前期だけで4万円近くかかった学年もありました。他にも、実習で使う作業着や道具代など、こまごまとした出費が重なって…。『見えない費用』もちゃんと計算に入れておくべきだったと痛感しています」(県外国立大理系)…続きは本誌で













