住宅メーカー・イシカワ 冷暖房費無料化住宅の新機軸
2025年01月27日
住宅にかかる暖冷房費を無料にする動きが急旋回し始めてきた。
東京都は2025年4月から太陽光発電設置義務化に動き出しており、京都府や群馬県、横浜市も前向きに検討している。
新潟県における住宅産業のトップをひた走るイシカワでは東北電力と提携した暖冷房費の無料化を先行、既に200 棟の販売実績を有している。電気代や諸物価高騰の折、無料のカラクリを石川幸夫社長に訊いた。(聞き手 本誌 瀬戸田鎮郎)
電気代には再生可能エネルギー発電促進賦課金(税金)が付けられている
瀬戸田 ㈱イシカワは、年間暖冷房費を無料にする住宅を積極果敢に展開してます。
東京都も京都も太陽光発電の設置義務化を進めているようですが、無料化の仕組みとはどのようなものなのですか。
石川 私共では現在そのような住宅を新潟県内に既に200棟以上着工して参りました。
これは簡単な原理で、太陽光発電を住宅の屋根に載せて、その電力を使い、一年中暖冷房の必要な時に24時間つけっぱなしにして、その電気代を無料にすることなのです。
瀬戸田 とはいえ、太陽光発電パネルを屋根に設置すればその費用がかかりますね。そこから発生する電力が無料とは云えないでしょう。
石川 全くその通りです。太陽光発電パネルでお金を出して載せるのは、最初に電気代を一気に払うようなものですね。これでは無料とは云えないわけです。
当社では「東北電力」とのコラボレーションで、この太陽光発電パネルを「東北電力」が無料で取り付け、15年無料リースし、15年後にそのパネルを住宅のオーナーに無料で譲渡するものです。「東北電力」は昨年、1000棟を手掛けており、そのうち100棟は弊社でのものです。
瀬戸田 「東北電力」が無料で取り付けてくれれば、発電する電気は自由に使えて、それならば暖冷房費は無料になるのでしょう。
しかし「東北電力」にはどのようなメリットがあるのでしょうか。メリットがなければ無料で載せないでしょう。
石川 「東北電力」には充分メリットがあるのです。「東北電力」はパネルを載せて15年間住宅のオーナーから昼使った残りの電力を
回収して余剰電力を利用するのです。ですから、昼間電気は使い放題でよいことになります。何にどう使おうと家電であれば自由に限度内で使えるのです。
瀬戸田 太陽光発電は昼間しか発電しません。暖冷房は夜でも必要です。その時の電気代は支払わなければならないでしょう。
石川 暖房費で説明しますと、昼は有り余るほどの電力がありますから、支障はないのですが、夜は本来であれば買わなければなり
ません。昼はたくさんある太陽光発電で発生する電気で、エコキュート給湯機、暖房便座、待受電力、食器乾燥機等で、電気を使いますが、余剰電力で夜使う暖房費と相殺するのです。
そこで暖冷房費は24時間つけっぱなしでもお金がかからないわけです。交換(バーター)の内容になるのです。他にも、電気代の内訳にカラクリがありますが、それは後で説明します。
私共の住宅(断熱性能5)では、31・0坪で屋根に6・2kwの発電パネルを載せると、新潟では実験の結果、約9万3000円程の電力が使えます。
暖冷房費は、年間冬24℃、夏26℃の設定温度の実験で7万3000円位になりますので充分電気代が0になります。
瀬戸田 なるほど。それは誰でも出来るのですか。
石川 「東北電力」に申し込み、既定の条件を満たせば誰でも出来るのです。
電気代は、基本料金+燃料調整費+再生可能エネルギー発電促進賦課金(現時点でkw当たり3・49円)+電力使用料の4つで出
来ているのです。
電力会社は、昼間使わない余剰電力を回収して、当然電力を利用出来るのですが、その他に再生可能エネルギー発電促進賦課金
で国民全員からお金を取り、これを政府の方針で太陽光発電の対策に使っているのです。
電力会社は一銭も損はしておらず、極端に云えば、一般の人々が太陽光発電パネルの費用の一部を負担しているのです。太陽光発電を使わない人から使う人の発電の費用を取るのは確かに問題がありますが、使わない人は損をしているのです。
瀬戸田 そのような仕組みとは知りませんでした。おかげで、少しは賢くなりました(笑)。…続きは本誌で