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2024年12月11日

5区 酒配りの告発の行方はこれから 立民・梅谷の“祭りのあと”

2024年11月27日

昭和初期に亡くなった童謡詩人、金子みすゞに、「イワシの大漁で浜はお祭り、だけども海の中はお弔い」といった詩があった。選挙もそんなもんで、勝てばお祭り、負ければお弔いだ。10月の衆院選で、県内は立民議員の大漁で、自民はお弔いばかり。5区の高鳥修一も、早々と敗北宣言した(敬称略)。

 

10月27日、衆院選の開票が行われた夜、上越市役所に近い同市の文化会館は慌ただしかった。この夜、6期目を目指した高鳥修一の開票待ち会場がこの文化会館に設置されていた。投票が終了した午後8時過ぎ、高鳥の会場に駆け込むメディアの姿が目立った。

 

事前の情報では、NHKが投票終了とともに当確を出す、いわゆるゼロ打ちの対象は、本県では2区だけだった。2区はいずれも現職で、立民の菊田真紀子、自民党の公認を外された無所属の細田健一、維新の新人、井上基之の争いだった。「当初、5区の当確が出るのは9時半頃かと伝えられていたんです。しかし本県ばかりではなく、いずこも自民には大逆風が明らかで、おのずと当確発表の時刻が早まった。5区で立民の梅谷守が当確となり、高鳥さんが会場入りしたのは午後8時45分頃だったでしょうか」(上越市のメディア関係者)

 

「みんな違ってみんないい」で知られる金子みすゞの詩ではないが、当選の梅谷はお祭りで、落選の高鳥はお弔いだ。

 

この選挙だが、高鳥、梅谷の一騎打ちは「スネに傷を持つ者同士の争い」などと言われた。前者には派閥が開催した政治資金パーティーのキックバックについて不記載があった。これが野党側から攻撃対象となり、自民からは「裏金議員」のレッテルを貼られ、「比例外しの刑」となった。

 

一方、立民の梅谷は「酒配り議員」と呼ばれた。今年2月のことだ。上越市内の町内会行事で、梅谷が酒の一升瓶をイベントの関係者に手渡している動画が発覚。4月、糸魚川市の行政書士が公選法違反(寄付行為)の疑いで梅谷を刑事告発した。

 

立憲民主党は5月に梅谷を党員資格停止1カ月、役職停止3カ月とした。選挙前、「警察が捜査を進めている」といった話はあったが、警察の結論は伝えられず。公示前、「選挙後に書類送検か」といった噂が流れた。だが少なくとも11月下旬の段階で、「梅谷が書類送検された」という話は聞かない。

 

選挙戦は「裏金議員」とレッテルを貼られた側が敗れ、「酒配り議員」が当選した。だが「禍福はあざなえる縄のごとし」という。何が不幸で何が幸いかは分からない。

 

「梅谷さんの公選法違反は額が大きくないことも立件を難しくしている要因だと聞いています。さらに町内会などに梅谷さんから酒をもらったという記録はあるのですが、何という銘柄の酒で、いくらだったかは書いていない。それにもう飲んでしまっているから、今から特定することもできない」(上越市のメディア関係者)

 

だが捜査の過程で別の内容が明らかになった可能性も捨てがたい。例えば祝儀の記録などだ。これなら飲んでしまうことはない。梅谷にとって悩ましい〝祭りのあと〟はまだ続く。

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