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2024年05月4日

7千万円の収入に経費20億円! JR米坂線の存亡

2023年10月27日

昨年8月の豪雨で被災し、路線全体の7割強で運休が続くJR米坂線。9月にJR東日本と新潟、山形両県の自治体による「復旧検討会議」が開催された。一方、県内でも同様に豪雨災害のため一部区間で運休が続いたJR只見線は、昨年11年ぶりに運行が再開された。米坂線の運行再開も、まだまだ時間がかかりそうだ。

 

収入7千万円、経費20億円

 

10月4日の県議会建設公安委員会でのことだ。この日は交通政策局に関する審議で、自民党の小野峯生県議(村上岩船)が最初の質問者だった。この日、同県議の質問は、前定例会に続いてJR米坂線について。

 

村上市の坂町駅と山形県米沢市を結ぶJR米坂線は全長が約90㎞。昨年8月3、4日、小野県議の地元を襲った豪雨水害により米坂線は甚大な被害を被った。現在、米坂線の7割強の区間で運休が続き、バスによる代行運転が続いている。

 

「米坂線の復旧にかかるJR東日本の姿勢は」という小野県議の質問に対し、県の交通政策課長が答弁した。

 

「米坂線の赤字要因についてですが、JR東日本の路線ごとの収支の公表によりますと、米坂線は令和3年度において運輸収入が約7千万円に対して営業費用が約20億円と、費用もほとんどまかなえていない状況です」

 

この「約7千万円の収入に対して営業費用が約20億円」とは、米坂線全体の数字だ。本県エリアの米坂線は主に県境の山間地を走る。それゆえ全体の収支より、本県分のそれはさらに悪い。以下はJR東日本が公表しているデータだ。

 

山形県の米沢~今泉(長井市)間では、令和3年度の運輸収入が34(百万円)で、営業費用が574(同)。小国(山形県)~坂町間は運輸収入が12(百万円)で、営業費用が548 (同)。後者は米沢~今泉間と営業費用がほとんど同じにもかかわらず、収入は3分の1ほどでしかない。

 

さらに復旧工事費については86億円、工期は5年と見込まれている。この工事費をJRや沿線自治体などが応分に負担し、その上で前述のような収支状況をどう改善していくことができるのか。今のところ誰にも明確な回答はないようだ。

 

「JR東日本は民間の鉄道事業者でして、経営の視点からは復旧費用の負担ですとか将来にわたる安定的な運行などの課題を解決したいという主張をしているものと考えています。県といたしましては、まずは復旧が第一と考えていますが、復旧後の利用促進も重要であると認識しているところでございます。

 

こうしたそれぞれの考え方も踏まえまして、今後の復旧検討会議では復旧工事費の負担、活性化を議題しているところでして、この会議を含め様々な場での関係者間の協議を精力的に行い、復旧のために何が必要か考えてまいりたいと思います」(交通政策課長)…続きは本誌で

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