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2022年08月9日

2024年問題の国難に翻弄される運送業界

2022年07月27日

運送業界において「2024年問題」が懸念されている。自動車運転などの一部の業務に猶予されていた時間外労働の上限規制が、2024年4月1日から開始されるのだ。不安視されているのは、ドライバーの給料や運送業の売上の減少などだが、運賃の値上げも予想されるため荷主企業も他人事では済まされない。国内輸送の92%を担うトラックのコストが大幅に上昇すれば、日本経済にも深刻な影響を与えてしまう。

 

本記事においては、「2024年問題」の全体像と原因を探るとともに、新潟初の進出となる「マルチテナント型物流施設」についても解説する。

 

運送業が抱える諸問題とは

 

働き方改革関連法によって、2024年4月1日から「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」が適用される。これに伴い物
流業界に生じる諸問題を「2024年問題」というのだが、中でも運送業の現状を知るために、問題点・課題について解説しておきたい。

 

① ドライバーの高齢化

厚生労働省の2020年のデータによれば、全産業の就労者の平均年齢は43・2歳である。対して中・小型トラックの運転手の平均年齢は
46・4歳で、プラス3.2歳。大型トラックでは49・4歳で、プラス6.2 歳も高齢化が進んでいた。

 

また、60 代以上は16%、40~50代前半は44%、29歳以下は10%という結果も出ており、運送業の高齢化が鮮明になっている。

 

② 長時間労働

2016年の全産業平均労働時間は2124時間であった。対して中小型トラック運転者は2484時間で360時間長く、大型トラック
運転者は2604時間で480時間も長かった。1カ月平均では全産業平均が177時間、大型トラック運転者が217時間、中小型トラッ
ク運転者は207時間であった。(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)

 

全産業平均と比較してトラックドライバーの長時間労働が鮮明で、運送業はトラックドライバーの「残業」によって支えられている実態が浮き彫りになっている。

 

③ 低賃金

同じく厚生労働省の調査で産業別の年間所得額(2019年)を見ると、全産業の平均年収501万円に対し、道路貨物運送業は433万円であった。全体よりも約14 %も安いという結果が出ている。

 

④ EC需要の激増

運送業はドライバーの高齢化、長時間労働、低賃金の状態にありながら、急速に伸びるECにも対応しなくてはならない。ECとは、「ElectronicCommerce」の略で、電子商取引のことである。ネット通販、ネットショップなどインターネット上での商取引をイメージすると理解しやすいだろう。

 

 

「経済産業省 令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、国内のBtoC(企業と個人の取引)向けのECの市場は、直近の10年で約2倍の20兆円規模に拡大している。特に近年は、商品の保管・梱包・配送などの物流業務が急増しているのだ。

 

ちなみに国内の物流業界全体の営業収入は約24兆円にのぼるが、小口配送が増えており、2020年の宅配便取扱個数は約48億個で、前年
比で5億個以上増えている。

 

仕事が増えるのは良い。しかし運送業者とドライバーが苦労するだけで価格転嫁が進まないという構造的な問題解決なしに永続すること
は難しいだろう。

 

さらに、ロシアのウクライナ侵攻によりガソリン・軽油が高騰しており、経営はますます圧迫される状態にある。…続きは本誌で

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