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2024年04月20日

南魚沼市民病院 豪雪で玄関庇”倒壊”は天災か人災か

2021年02月26日

1月11日、南魚沼市民病院の正面玄関に設置された庇(キャノピー)が倒壊した。施工だけで約5千万円の費用を投じたものだ。庇は支柱が破損し、病院の建物側に倒れ、ドスンという衝撃で病院が揺れたという証言もある。大惨事になりかねなかったこの一件だが、豪雪が原因の天災だったのか、それとも何らかの瑕疵があった人災だったのか?

 

破損、傾斜、倒壊…?

 

『北越雪譜』の著者、鈴木牧之生誕の地で、牧之記念館やその名を冠した「牧之通り」で知られる南魚沼市。同市でもこの冬の大雪は「異常事態だった」という。昨年12月、このエリアの関越道では上り下り合わせて
2千100台の車が大雪の影響で立ち往生となった。

 

1月に入ってからの大雪で、南魚沼市内では家屋の被害が続出。県内の自治体で、住宅被害の件数が2番目に多かったという。公共施設にも被害が出た。成人の日の1月11日、同市立の南魚沼市民病院では、正面玄関の庇が〝倒壊〟してしまった。

 

病院正面玄関の庇だが、「キャノピー(屋根)」と呼ばれるもので、建設時の工事名などでは「南魚沼市民病院玄関ポーチ庇」となっていた。「ポーチ」とは洋風建築で「玄関先を屋根でおおったところ。車寄せ」のことをいう。

 

写真は南魚沼市民病院のウェブサイトにある空撮動画のスクリーンショットだ。写真中央の下側で、右側の建物に接して張り出した長方形の屋根が見える。これが正面玄関のキャノピーだ。

 

素直に「倒壊」と言ってしまえないところが、事情の複雑さを物語っている。結論を先に申し上げれば、キャノピーが雪により破損したものなのか、あるいは傾斜しただけか、それとも倒壊してしまったのか、明確になっていない。

 

1月11日は祝日だったこともあり、病院への来訪者は比較的少なかった。破損、傾斜、倒壊かはともかく、キャノピーは、建物側に傾斜し、建物に沿ってある雁木状の歩行者用アーケードの部分に当たったらしい。これが逆方向、駐車場側に傾斜、倒壊していたら一大事だった。駐車してある車を直撃し、人が乗っていたら惨事になりかねなかった。

 

それはともかく、1月11日に発生したキャノピーの被害について、同日に南魚沼市民病院はウェブサイト上で「破損」と伝えた。ただしこの「お知らせ」はその後に削除されてしまっている。現在も残っているのは1
月18日付の「正面玄関(一般入口)の使用再開について」と題するもので、内容は以下。

 

〈豪雪による正面玄関前キャノピー(屋根)破損のため使用不可となっておりました正面玄関につきまして1/18(月)午後4時から使用を再開しました〉

 

ここでも〈破損〉となっている。この時点で、傾斜、倒壊したキャノピーは既に撤去作業を終えていた。…続きは本誌

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