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2024年04月24日

新幹線の空港延伸は国会に資する事業だ!

2017年11月27日

元国鉄マン。五十嵐建設工業(新潟市江南区)の五十嵐豊社長は、東北・上越新幹線が上野駅止まりだった時代、「命懸けだった」というプロジェクトの東京駅延伸に奔走した。東京延伸は、東京駅での乗り換えは必要だが、結果的に北海道から九州までをレールで結んだ。この恩恵を全国の人が享受している。五十嵐氏はこの経験から、上越新幹線の新潟空港延伸の必要性を痛感している。その根拠を聞いた。

 

日本の未来のために

 

『我に私心なきや―鉄道人・鬼頭誠の生き方―』という本がある。故鬼頭誠氏は、国鉄時代の五十嵐氏の上司だった。新幹線の上野―東京間開通に全力を尽くした人物だ。

 

「鬼頭さんの功績はあまり知られていない。それを後世に伝えたかった」という思いで五十嵐氏らがまとめた本だ。この本を五十嵐氏は、“鬼頭伝”と呼んでいる。

 

昭和57年6月、東北新幹線は盛岡―大宮間で暫定開業した。60年3月には大宮―上野間が開業した。

 

ところが、わずか3・6㌔㍍でしかない上野―東京間の開業は、さらに6年もの歳月を要した。東京まで結ばねばならぬ理由がいくつかあった。

 

“鬼頭伝”によれば、〈全国新幹線鉄道整備法が構想する社会基盤は、東京を中心軸に西日本と東日本、さらに北海道、日本海側をひと続きにしようというものだ。それは互いの起点駅がしっかり結ばれていてはじめて実現するものと位置付けられている。〉というのがひとつ。東海道新幹線や首都圏在来線への乗り換えが飛躍的に便利になり、移動効率が高まるからだ。いま一つは、東京駅乗り入れは、東北地方の悲願だったからだ。

 

 

だが、上野―東京間の区議会、住民、商店街の反対運動などで、なかなか工事が進まなかった。

「鬼頭さんはこのとき、この事業は日本の未来のためなどと言って住民の説得に当たるなど、まさに獅子奮迅の働きでした」 (五十嵐氏)

 

今まさに、新潟の未来、日本の未来のため、上越新幹線の新潟空港延伸を実現させよと五十嵐氏は説く。

 

四半世紀議論されたにもかかわらず、何一つ進まず、もはや封印されたかに見えた上越新幹線の新潟空港延伸議論を再び揺り動かし、世に問う運動にしたのは、間違いなく財界にいがたという雑誌である。私はそう思っており、まずもって感謝申し上げたいと思います。

 

延伸事業は、天下国家のために資すると私は真剣に思っています。国民が幸せになるために必要な事業であり、花開かせなきゃいかんとさえ思っています。そう考える根拠を話していこうと思います。

 

その前に隣県のパワーについて触れておきたい。先月、石川県白山市で北信越の商工会議所会頭会議が開かれました。私は亀田商工会議所会頭の立場で参加しました。

 

 

お話しさせていただいた富山県や石川県の経済人は「北陸新幹線は金沢止まりではダメなんだ。何としても、死んでも大阪まで延ばすんだ」と言い、その熱意に圧倒されました。

 

主催である石川県から谷本正憲知事がスピーチしました。

 

 

石川県の観光客が物凄く増えている。「仙台発大宮経由金沢着」のツアー用新幹線が運行するようになったというのです。新幹線で金沢を繁栄させるという経済界の熱意が、これまでは考えられなかったルートの新幹線を走らせることに成功したのです。

 

日本政策投資銀行が開業前に試算した北陸新幹線開業による石川県への経済波及効果は年間124億円。実際はその5・6倍の678億円だったと同銀行はリポートしました。驚くべき結果です。谷本知事は言いました。

 

 

「誰も予期しないことが起きた」

 

新潟を国際物流の拠点に

 

米山知事は、今の人口動態や旅客推移などから、新幹線を空港に延伸させても赤字になると言って延伸に消極的です。知事の主張は間違いではありません。でも、田中角栄さんが列島改造論で新幹線や高速道路を構想したとき、赤字になるとか黒字になるとかなんてことを考えただろうか。東北新幹線は、年間3千億円の赤字が
15年も続き、国鉄再建の足かせになるというような見解が当時ありましたが、それでも実現させました。新幹線で一儲けしてやろうという山っ気ある自治体もあっ
たでしょう。この山っ気が新潟には必要なのです。

 

 

石川県は予期しない経済波及効果を得ました。損はある程度計算できるが、益は熱意ある計画と実行で予想以上のものを生むのです。それを今まで本県経済界はやってこなかったことは否めません。

 

本県はいち早く新幹線を手に入れながら、なんもせんかった。仙台に追い付けと言いながら、仙台に突き放されました。北陸新幹線開業による新潟危機、いわゆる「2014年問題」のときも、結局はなんもせんかった。政令市だから大丈夫だと安穏としていたのでしょう。…続きは本誌に

 

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