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2017年09月21日

枯渇ガス田に天然ガス高圧注入で懸念される「大規模地震誘発説」

2017年06月27日

県が「エネルギー戦略特区」の一環として全国初の構想を打ち出している。県内の枯渇ガス田に膨大な量の海外産天然ガスを貯蔵しようという試みがそれだ。実現すれば天然ガスの価格変動に左右されない安定的な需給調整が可能となるが、実のところこのプロジェクトの背後では一部の地震研究者から懸念の声が上がっている。「天然ガスの地下貯蔵は大地震を誘発する危険性をはらんでいる」との指摘だ。

 

枯渇ガス田に天然ガスを貯蔵

 

日本でLNG(液化天然ガス)の輸入が開始されたのは1969年に遡る。東京ガスと東京電力の共同事業がその先駆けだった。

 

そのLNGは日本において将来的にも重要なエネルギー資源として位置付けられている。2014年4月に閣議決定したエネルギー基本計画を踏まえて2015年7月に策定された長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)でも、LNGは2030年においても約6,200万トンの輸入量を維持すると予測されているのだ。

 

こうした中、日本では海外産LNGを安価な時期に大量輸入してストックし、必要に応じて供給することによって需給調整を図ろうという構想が持ち上がっている。

 

具体的には輸入した大量の天然ガスを生産が終了した枯渇ガス田に貯蔵し、パイプライン等を通じて必要に応じて消費地に供給しようとの試みだ。平たくいえば、海外から輸入した天然ガスを地中深くに注入して貯蔵しようというわけだ。

 

こんなふうに記すと、何かまったく新しいプロジェクトのように受け止める読者もいるかもしれないが、枯渇ガス田に天然ガスを貯蔵する取り組みは国産についてはすでに行われている。何を隠そう、それは全国で唯一、新潟県内で行われているのだ。

 

関原ガス田、片貝ガス田、中条ガス田、紫雲寺ガス田、雲出ガス田の5つの枯渇ガス田において国産天然ガスを貯蔵。主に冬季間の需要増に対応することを目的に定量の国産天然ガスをストックしている。

 

そして日本海LNG基地を核とする県内のこうした天然ガスパイプラインが全国的に一躍注目を浴びたのが、東日本大震災発生時だった。仙台市ガス局のLNG基地が津波被害により供給不能となったのを受けて、新潟のパイプラインが代替供給したのだった。

 

関係筋が話す。

「震災時に天然ガスパイプラインで新潟が全国に存在感を示したことから、当時の泉田裕彦知事は天然ガスをビジネスチャンスと捉えました。

 

具体的には対岸約800キロのロシア・ウラジオストクとガスパイプラインを結び、ロシアから引っ張ってきた天然ガスを県内に数多く存在する枯渇ガス田に貯蔵し、県内はもとより他地域にも安価で安定的な天然ガスを供給しようという日本海横断ガスパイプライン構想を打ち出したのです」(県関係者)

 

こじつけの法解釈で計画推進

 

とはいえ一口に海外産の天然ガスを枯渇ガス田に貯蔵するといっても、そこには大きなハードルが待ち構えており、そう簡単に実現するものではないという。

 

前出の関係筋が解説する。

 

「天然ガスの採掘について規定した鉱業法という法律がありますが、鉱業法はまだ採掘されていない鉱物を掘採、取得する事業について定めた法律で、いったん採掘された天然ガスの貯蔵を目的とした地下への圧入は想定されていません。

 

ではなぜ新潟県内で国産天然ガスの貯蔵が行われているかというと、国産の地下貯蔵についてはガスを生産する鉱山の合理的開発に資すると法解釈されているからなのです。これに対して海外産ガスについては地下貯蔵を認める法的根拠がないというわけです」 (県関係者)

 

こうしたことから県は新潟市や上越市、聖籠町などとともに「エネルギー戦略特区」において海外産天然ガスの地下貯蔵が認められるよう法整備を国に働き掛けた。…続きは本誌に

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